1994 Fiscal Year Annual Research Report
極限的金属ヘテロ界面構造制御のための薄膜成長初期過程に関する研究
Project/Area Number |
06452325
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 良一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10107550)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓野 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40251467)
|
Keywords | MEAM / サーファクタントエピタキシ- / 金属多層膜 / 垂直磁気異方性 / 巨大磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
本年度は、Modified Embedded Atom Method(MEAM)を用いたサーファクタントエピタキシ-の理論計算を行い、どのような金属の組み合わせでサーファクタントエピタキシ-が起こり得るかということを明らかにした。 異なった種類の金属を数原子層レベルで交互に積層した金属多層膜では、垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果など特異な物性が発見され、光磁気メモリ材料や磁気抵抗ヘッドなどへの応用が期待されている。これらの新物性は金属ヘテロ界面構造に敏感であり、金属超薄膜の成長初期過程とヘテロ界面構造制御が重要なポイントである。 本年度はMEAM法によるサーファクタントエピタキシ-理論計算を行った。基板Bの上に薄膜Aが1ML載った構造(A/B/B)と薄膜と基板の1MLが入れ替わった構造(B/A/B)のエネルギー差を計算した。B/A/B構造が安定である場合は、B上のAのヘテロエピタキシ-に際して基板原子が表面に現れ、成長表面を平坦化する可能性がある。逆にA/B/B構造の方が安定な系については、B金属のホモエピタキシ-においてA金属がサーファクタントとなり得る。B/A/B構造が安定なのは基板の表面エネルギーの方が小さい場合であることがわかった。Al/Pd、Al/Ptでは合金形成エネルギーが負の大きな値、すなわち合金を形成した方が安定であるため、基板の表面エネルギーの方が薄膜の表面エネルギーより2倍程度大きいにもかかわらず、B/A/B構造の方が安定となっている。逆に薄膜がbccの系では、基板の表面エネルギーの方が小さいがA/B/B構造の方が安定となるものが合金の形成エネルギーが正の場合に認められた。
|
-
[Publications] Kazuki MAE: "RHEED Iuvestigetion of Metal Epitaxies and Multilayers" Microelectronic Engineering. 25. 235- (1994)
-
[Publications] 弓野健太郎: "電子構造から見た金属人工格子の垂直磁気異方性" 日本金属学会会報. 33. 1197- (1994)
-
[Publications] H.MIZUBAYASHI: "The anelastic study of Ag/Pd multilayers" Journal of Alloys and Compounds. 211/212. 442- (1994)
-
[Publications] 伊坪徳宏: "微細構造制御によるユコマテリアル化の試みとしてのFe-Feコンポジットの可能性" 粉体および粉末冶金. 41. 1361- (1994)
-
[Publications] M.Kohyama: "Theoretical study of grain boundaries in Si:Effects of structural disorder on the local electronic structure and the origin of band tails" Physical Review B. 50. 8502- (1994)