1995 Fiscal Year Annual Research Report
インコネル合金溶接部の異方性評価のための高減衰材用超音波顕微鏡の開発
Project/Area Number |
06452332
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三原 毅 東北大学, 工学部, 助教授 (20174112)
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Keywords | インコネル合金 / 超音波顕微鏡 / 水銀 / 溶接部 / 音速測定 / V(z)曲線 / 局所的測定 |
Research Abstract |
インコネル合金は、特に超音波の減衰と異方性が大きく、超音波探傷に必要な超音波の伝播経路、屈折・モード変換特性などが正確に把握できないため、特に溶接部で欠陥を見落とす場合がある。入射した超音波挙動を正確に把握するためには、5mm程度の巾の電子ビーム溶接に対応して、材料の音響異方性測定を行う必要が有るが、mmオーダーの局所領域の音響特性を測定できる測定法は、現在超音波顕微鏡法しかない。しかし、超音波顕微鏡は、非常に高周波の超音波を用いて高い分解能を確保しており、インコネル合金のような高減衰材料では、高周波数の測定は困難であり、緊急性を有する研究課題であるにもかかわらず、国内外を問わず報告例はなかった。本研究では、従来の超音波顕微鏡を、初めて高減衰材料測定に目的を限定して、音響レンズ、音響カプラー、測定解析プログラムを変更し、インコネル溶接部付近の局所的分布、異方性を測定した。水銀カプラー用に新たに作製した超音波スキャナーシステムを用い、高減衰材料の測定に適した音響レンズ、測定手順、解析コードを決定し、高減衰材料用超音波顕微鏡測定システムを完成した。 具体的には、音響カプラーを高減衰材料に対応して純水から水銀に変え、これに伴って水銀カプラー測定に適した、400MHz用の点集束型レンズと、異方性を含む定量評価用に215MHz用の線集束型レンズの各1個づつ作製した。V(z)曲線の解析には、純水カプラーの場合に用いた従来のFFT法が使えないため、スプライン補間解析、MEM法などを含めた検討の結果、FFT補間法を開発し、高精度の音速測定が可能となった。これら開発したシステムを用いて、ステンレス鋼、インコネル合金の溶接部周辺の音速の異方性を測定した。
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