1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452335
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / InSb(111)A-(2×2)表面 / 表面の微細構造 / Sn初期吸着 |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、InSb(111)A-(2×2)表面および同表面上へのSn吸着の初期段階を、初めて原子スケールで観察した。得られた結果を以下にまとめる。 (1)InSb(111)A表面の加熱清浄化に適切な温度領域は、460℃近傍の非常に狭い範囲(約20℃)である。また、加熱に伴う同表面からのSbの脱離はステップから優先的に生じる。 (2)InSb(111)A-(2×2)表面の原子分解能STM像は、バイアス電圧に依存してその特徴が変化する。これら三タイプの原子分解能像のいずれも、過去に提唱されたIn vacancy buckingモデルに基づき、矛盾無く解釈する事が出来る。すなわち、非占有状態像では最表面In原子の空軌道が、高バイアス占有状態像では空孔に近接した第二層Sb原子の孤立電子対が、低バイアス占有状態像では最表面In原子と第二層Sb原子との結合軌道が、それぞれSTMで観察される。 (3)InSb(111)A-(2×2)表面上には、ステップ・エッヂが<112^^->もしくは<1^^-1^^-2>方向に垂直な、三種類の二原子層ステップが存在する。これらのステップに対し「electron counting model」に基づく構造モデルを提唱した。 (4)InSb(111)A-(2×2)表面上におけるSnは、テラス上で周期性を持たずに吸着する。また、Sn初期吸着位置は、最表面に形成されたIn空孔位置、第二層Sb原子の直上、最表面In原子の直上の三種類である。これら三つのSn初期吸着位置の内、最表面に存在するIn空孔位置が最も優先的である。 以上の結果は、InSb(111)A-(2×2)表面の微細構造および同表面上でのα-Sn薄膜の安定成長機構の解明に関して、重要な知見を与えるものである。
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