1995 Fiscal Year Annual Research Report
熱的マランゴニ対流と単結晶育成[表面張力の温度係数の符号の影響]
Project/Area Number |
06452341
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今石 宣之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (60034394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 泰伸 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (10231846)
佐藤 恒之 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (80170760)
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Keywords | マランゴニ対流 / 表面張力 / 微小重力環境 / 水酸化ナトリウム / 硝酸ナトリウム / マルチロールセル |
Research Abstract |
半導体や酸化物などの高品位単結晶の製造のために,単結晶育成炉内の融液の流れを正確に理解し,合目的的に制御する技術を開発することが要求されている。このなで、自然対流に関する理解はかなり深まっているが,表面張力対流(マランゴニ対流)およびマランゴニ対流と自然対流の共存対流についての基礎的理解が不足している。マランゴニ対流は,微小重力環境における流体運動の基礎科学としても重要である。 本研究では,マランゴニ対流の基礎的理解を深めるため,通常の流体と異なる表面張力の温度係数σ_T(σ_T≡∂_σ/∂T)を持つ溶融苛性ソーダ(NaOH)の微小液柱内に生じるマランゴニ対流,および溶融NaNO_3の液柱内に生じるマランゴニ対流と自然対流の共存流について,実験および数値解析による検討を行い,下記の結果を得た。 1)溶融NaOHの表面張力を,最大泡圧法を用いて測定し,融点(600K)〜T^*=725Kの温度域ではσ_T>0,T^*以上の温度域ではσ_T<0となることを明らかにした。 2)T^*以下の低温域では,表面液が定温度点から高温度点へと向かう方向に流れるマランゴニ対流が観測された。実測した流速分布等は,数値解析結果と良く一致した。 3)T^*以上の温度域では,通常の流体におけるマランゴニ対流と同様に,高温度点から定温度点へ向かって流れる表面流が観察され,数値解析結果と良く一致した。 4)加熱板温度がT^*の近傍に設定される場合,温度および温度差に依存して,液柱内には2〜4個のロールセルが発生する。このマルチロールセル流れの発生機構は数値解析の結果,定量的に説明できた。 5)液中を水平に置いた場合に生じるマランゴニ対流と自然対流との共存流の解析用の3次元数値解析コードを開発し,NaNO_3融液に対して解析を行い,実験結果を説明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S. Yasuhiro: "Marangoni convection in small liquid bridge of molten NaOH -Effect of surface tension maximin-" Microgravity Science and Technology. 7. 112-119 (1994)
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[Publications] 安廣 祥一: "微小液柱内の軸対象振動型マランゴニ対流の解析" 九州大学機能物質科学研究所報告. 8. 23-33 (1995)
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[Publications] 今石 宣之: "微小重力環境でのマランゴニ対流" まてりあ(金属学会誌). 34. 405-411 (1995)
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[Publications] 今石 宣之: "結晶成長ハンドブック" 共立出版, 248-253 (1995)
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[Publications] 今石 宣之: "新編 伝熱工学の進展" 養賢堂, 227-338 (1995)