1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマン・エラーを考慮した船舶の安全に係わる機能システムの信頼性に関する研究
Project/Area Number |
06452353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福地 信義 九州大学, 工学部, 教授 (80039677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ジョージ トーマス 九州大学, 工学部, 助手 (40243919)
若菜 啓孝 九州大学, 工学部, 助手 (00167082)
篠田 岳思 九州大学, 工学部, 助教授 (80235548)
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Keywords | ヒューマン・エラー / 機能システム / システム信頼性 / 防火・消火システム / 生起確率 / 頂上事象 / 危惧度 / 改善対策 |
Research Abstract |
最近混乗船が増加し,これに伴う船員の質の低下により,船舶の安全に係わる機能システムにおいて誤判断,誤操作などのヒューマン・エラーに起因する船舶火災,座礁,油流出などの重大事故が頻発している。ヒューマン・エラーには,システム設計の不完全さ,計装系の欠陥に誘起されて発生するものもあり,誤判断や誤操作の起こり難い機能システムの構築が不可欠である。 このためには,機能システムの設計時にその信頼性に関する構造分析を行い,事故が生起する確率をある程度の精度で推定し,これにより改善すべき事象を抽出して,その対策の効果を予じめ予測する必要がある。しかし,一般に基本事象の生起確率は極めて小さくあいまいなものであり,それらを用いて頂上事象の発生頻度を算出しても,実際的な信頼度を表わすものとしての意義は疑しい場合もある従って,本研究では,発生頻度が極めて小さい事象でも心配の種となることもあり得ることを踏まえて,感覚的尺度として危惧の度合を定義し,これを用いた生起確率の推定法を提案した。また,信頼性向上のための各対策の効果を明確化するために,ファジ-積分により頂上事象の不信頼性を表す事象生起の期待値を算定する方法を確立した。 この方法の適用例として,船舶の安全に係る機能システムの中では近年問題視されている,火災発生時の行動基準(SOP)の不備さと相俟ってヒューマン・エラーによる頂上事象が発生する確率が極めて高い防火・消火システムの信頼性を取扱い,抑制不可能な火災拡大に至る確率を危惧の度合に基づき算出し,さらに防火対策として改善すべき項目とその効果について調べた。
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