1995 Fiscal Year Annual Research Report
重イオン照射下その場観察法によるカスケード損傷重畳効果の研究
Project/Area Number |
06452426
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
関村 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10183055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 修一 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50124665)
石野 栞 東海大学, 工学部, 教授 (70010733)
河西 寛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40010970)
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Keywords | 重イオン照射 / カスケード損傷 / 欠陥クラスター / 1次はじき出し原子 / 重畳効果 |
Research Abstract |
カスケードの影響が及ぶ範囲は損傷エネルギーに比例して広くなり、あるエネルギー以上のPKAによるカスケードからの影響が有効、との仮定を置き、透過電子顕微鏡観察可能なクラスターを生成させるカスケード間の相互作用のPKAエネルギー依存性を、21MeV自己イオン照射、14MeV中性子照射及び核分裂高速中性子照射によるPKAエネルギースペクトルと実験結果に基づいて評価した結果、165keV以上のPKAのみがカスケード間相互作用に有効であるとの結論が得られた。 この解析は、単純な仮定に基づいたものであるが、50、100keVの自己イオン照射では欠陥クラスター密度が照射量に伴い一乗で増加するのに対して、200、400keVでは一乗より高い割合で増加する現象が見られたのは、この評価値を支持するものである。欠陥クラスター密度の照射量依存性が線形からずれ始める照射量での欠陥クラスターグループ数密度から平均カスケード間距離を求めると、21MeV自己イオン照射、核分裂高速中性子照射、14MeV中性子照射の場合、それぞれ55、57、90nmとなった。また200keV、400keV自己イオン照射において同様にカスケード間の平均間隔を求めると、それぞれ60、100nmとなった。このことから、PKAエネルギーが大きいほどカスケードから発生したエネルギー的な影響はより広範囲に及ぶことを明確に示すことができた。 照射量依存性の線形からのずれが起きると、入射イオンあたりの欠陥クラスター生成数は、400keVでは2.8から5.7、200keVでは1.6から2.7に増加した。この差は観察不可能な欠陥クラスターから観測可能となったものに相当すると考えることができ、PKAエネルギーが大きいほど観察不可能な欠陥クラスターを生成する割合が高いことが明らかにされた。
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[Publications] E.A.Koptelov: ""Interstitial Cluster Formation in Metals under Intense Irradiation"" Journal of Nuclear Materials. 225. 38-52 (1995)
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[Publications] K.Morishita: ""The Correlation of Defect Distribution in Collisional Phase with Measured Cascade Collapse Probability"" Nuclear Instruments and Methods in Phisics Research B. 102. 67-71 (1995)