1995 Fiscal Year Annual Research Report
炭素・窒素安定同位体比を指標とする海洋表層の生物地球化学過程の研究
Project/Area Number |
06453006
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
才野 敏郎 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (60126068)
|
Keywords | 炭素 / 窒素安定同位体比 / 植物プランクトン / 二酸化炭素 / 硝酸 / 北部北太平洋 |
Research Abstract |
既存の試料に基づき,北部北太平洋における表層の懸濁態粒子の炭素,窒素安定同位体比と海洋表層環境因子の関係を調べた.この結果,夏季の亜寒帯前線付近で硝酸態窒素が枯渇するのに伴い植物プランクトンの現存量の増大がみられ,それ以北では硝酸態窒素が表層に高濃度で存在するが植物プランクトンの現存量は前線付近より小さいことがわかった.また前線より北部の懸濁粒子は非常に低い窒素同位体比を示すこと,また前線付近の植物プランクトンは通常の生育条件で予想されるより高い炭素同位体比を持つことが明らかになった.1995年10月に既存の試料の解析において不足していた,硝酸及び溶存二酸化炭素の安定同位体比を実測すべくあらたな観測と試料採取を同海域で行なった.これらの試料は分析の終了をまって次年度に解析を行なう予定である. 同海域の表層の水温,塩分,栄養塩類温度,植物色素濃度の歴史的データを集積し,表層の生物環境因子と植物色素濃度の関連に関する解析を始めた.現在までのところ,例として選んだ北海道東方海域において表層の水温と栄養塩類濃度の間には強い相関が認められることがわかり,同海域では表面水温を知ることによって、栄養塩類濃度が推定できるようになった. また1994年12月より,表層の生物活動によって生産された粒子の全沈降粒子のおける寄与を評価する目的で,東京湾湾口においてセジメントトラップの長期係留実験を始めた.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yanagi,T.et al.: "Transport mechanism of suspended matter above the shelf slope at the mouth of Tokyo Bay." Journal of Oceanography. 51(4). 459-470 (1995)
-
[Publications] 才野敏郎: "栄養塩と生物活動" 月刊海洋「現代海洋化学」. 号外#8. 20-27 (1995)