1994 Fiscal Year Annual Research Report
大気粒子状物質の外洋への輸送と除去に影響を与える気象現象の化学的解明
Project/Area Number |
06453010
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
植松 光夫 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60203478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 助教授 (00152752)
南 秀樹 北海道東海大学, 工学部, 助手 (60254710)
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Keywords | 大気降下物 / 大気エアロソル / 海洋堆積物 / 懸濁物粒子 / 硝酸塩粒子 / 天然放射性核種 / X線マイクロアナリシス / 太平洋 |
Research Abstract |
1.大気粒子試料はハイボリュウムエアサンプラーを用い、札幌の測点だげてなく、新潟、紋別での観測を開始し、その試料の分析体制を本年度の研究計画内で整えた。一方、1994年2月から4月にかけて北太平洋西部、赤道域、南太平洋、北太平洋中央部を航海した東海大学所属「望星丸」の船上で同様のサンプラーで採取した。同じ航海で降水採取器をコンパスデッキに設置し、各海域で航海中の降水試料を採取した。海洋表層への影響を調べるために毎日、海表面水を採水し、濾過して懸濁物試料とした。 2.これらの大気粒子試料は天然放射性核種であるベリリウム-7(^7Be:半減期53日)について、ただちにガンマ線測定装置を用いて計測した。その結果、^7Be濃度は測点の風向や風力によらずスケールの大きな大気変動に対応して変化していることがわかった。また赤道付近では濃度が中緯度帯の値の30%程度に減少していることから、成層圏や対流圏上部からの粒子を含んだ下降流が極めて少ないことが明らかになった。^7Beを含むサブミクロン粒子の除去には降水量よりも降水頻度や降水時間に相関が高いということがわかった。 3.北太平洋上での^7Be濃度と硝酸塩濃度載変動に高い相関があった。このことから陸上の人為的汚染物質でもある硝酸塩粒子は対流圏中・上層を経由し、アジア大陸から北太平洋中央部まで長距離輸送され、海洋大気中に降下してきたものと説明できる。南太平洋ではこれら2成分での相関はなく、その違いは明確になった。これは1990年度や1992年度に「白嶺丸」や「白鳳丸」によって得られた試料からの結果と予盾しなかった。 4.現在、降水自動計測装置が完成し、来年度から本学屋上で作動のチェック、サンプリングの手順を完成させ、船に設置して測定が可能になるようにすることを計画している。濾過された降水試料について硝酸塩濃度を測定し、海洋への大気からの栄養塩の供給を見積もる。また自動濾過によって得られる降水中の不溶性粒子のエネルギー分散型X線元素分析法による定量法の確立をすすめている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Meksumpun,S.,Montani,S.,and Uematsu,M.: "“Elemental components of cyst walls of three marine phytoflagellates,Chattonella antiqua,Alexandrium catenella and Scrippsiella trochoidea"" Phycologia. 33. 275-280 (1994)
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[Publications] Uematsu,M.,Duce,R.,and Prospero,J.: "“Atmospheric beryllium-7 concentrations over the Pacific ocean"" Geophysical Research Letters. 21. 561-564 (1994)
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[Publications] Uematsu,M.: "“Exchange of substances betweenocean and atmosphere"" Bull.Airborne & Satellite Phys.& Fish.Oceanogr.14. 25-31 (1994)
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[Publications] 植松光夫: "「海洋大気エアロソルの化学的挙動とその影響」" 月刊海洋/号外. 8(印刷中). (1995)
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[Publications] Uematsu,M.,Kawamura,K.,lbusuki,T.,and Kimoto,T.: "“Chemical composition of marineaerosols over the central North Pacific"in“Biogeochemical Processes and Ocean Flux in the Western Pacific"" in prrss,ed.,Y.Nozaki,Terra Pub.Co.,(1995)