1994 Fiscal Year Annual Research Report
二液相分離を示す液体合金の重力環境および無重力環境に於ける臨界電子現象の研究
Project/Area Number |
06453012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊丹 俊夫 北海道大学, 理学部, 助教授 (40113518)
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Keywords | 液体金属 / マイクログラビティ / 二液相分離 / 臨界現象 |
Research Abstract |
本年度は本研究計画の初年度にあたり、既存のロケット搭載電子回路装置の本実験計画への適合化、最適搭載試料セルの設計製作および試料調整に不可欠なグローブボックスシステムの構築、およびこれらの実験システム全体の妥当性の確認のため小型ロケットによる無重力下の液体Bi-Ga系の電気抵抗測定実験を均一液相から二液相分離温度へ至る温度の降温過程で実施した。既存のロケット搭載電子回路装置の本実験計画への適合化は、本実験計画の対象とする系が比較的低抵抗なため、若干の改良を必要としたが、無事、終了した。特に、温度計測の白金抵抗体リ-ドの漏電の問題は高温においても絶縁性の高い絶縁方法を開発することで完全に解決した。測定セルとしてチタン製のダイヤフラム機構付きセルが本計画の対象系に対しても有効であることを確認した。さらに、米国VAC社のグローブボックスシステムを導入し、酸素および水分1ppm以下の雰囲気下で、試料の秤量、セル容器への封入可能なシステムを構築した。これらの成果を踏まえて実施した無重力下の液体Bi-Ga系の電気抵抗測定実験の結果、電気抵抗の温度係数の組性依存性は臨界組成で最大になること、過冷却が非常に無重力下で大きくなること、地上重力においては非常に狭い温度範囲に限定される臨界挙動が無重力下では広い温度域でみられることなど、本実験に向け貴重な手掛かりとそれ自身としても論文発表を早急にすべき結果をえた。
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[Publications] 伊丹俊夫,松本英明,正木匡彦,荒礎恒久: "重力および無重力下での磁性流体の挙動" 日本マイクログラビティ応用学会誌. 11. 101-106 (1994)
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[Publications] 伊丹 俊夫: "液体金属および合金の拡散と二液相分離現象" まてりあ. 33. 1007-1010 (1994)
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[Publications] 伊丹 俊夫: "二液相分離現象と小型ロケットによる無重力実験" 化学と教育. 42. 662-667 (1994)
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[Publications] T.Itami,T.Masaki,K.Kuribayasi,M.Yamasita,M.Hinada and K.Kawasaki: "Two liquid phase separations of liquid Bi-Ga alloys under low gravity21GC04:Trans.Mat.Res.Soc.Jpn." 16A. 581-584 (1994)
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[Publications] T.Itami and K.Sugimura: "A HARD-SPHERE MODEL IN ANALYTIC FORM FOR ATOMIC TRANSPORT PROPERTIES OF LIQUID METALS" Phys.Chem.Lig.29. 31-41 (1995)