1995 Fiscal Year Annual Research Report
簡単な分子の液体における分子再配置運動素過程の探索と不可逆的構造緩和の解明
Project/Area Number |
06453017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小國 正晴 東京工業大学, 理学部, 教授 (50144423)
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Keywords | 液体 / ガラス転移 / エンタルピー緩和 / 非線形性 / フラジル性 / 不可逆性 / 素過程 |
Research Abstract |
液体の分子配置構造および再配置運動の解明を進めるために、分子の位置と配向が無秩序な過冷却液体、分子配向のみが無秩序な柔粘性結晶、さらに比較として位置も配向も基本的に秩序構造を持つ安定結晶のガラス転移および構造緩和過程について、熱測定による研究を行った。 1.過冷却液体ジブチルフタレートにおいて、αとともにβガラス転移を見い出した。αとβ過程の緩和時間の関係は昨年報告した他の液体と同様であった。また、柔軟性結晶シクロヘキサノールにおいて、2組のαとβガラス転移、さらに他の独立なガラス転移を見出した。分子位置の秩序化を通して分子再配置運動がデカップルした可能性もり、過冷却液体の挙動は大変興味深い。 2.1,3-ジフェニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのガラス転移は比較的近い温度で出現することを確認した。これは液体における分子再配置運動が結晶のそれに近いことを示唆するものであり、今後この示唆の確認を進めて行く必要がある。 3.oーターフェニルおよびザロールについて、液体のガラス転移温度近傍で結晶胚凝集に基づく、新しい結晶化過程を発見した。その成長速度は、α過程ではなく、β過程緩和時間に支配されており、今日一般的な結晶核生成理論の常識を覆す結果を得た。 4.フルオレン〜ジベンゾフラン固溶体について、ガラス転移温度におけるエンタルピー緩和過程を精密に追跡した。その緩和過程を伸長指数関数の非指数関数性パラメータβで特性化し、その結果を温度ジャンプ量Δ_jTの関数として考察した。その結果、各組成結晶について、βはΔ_jTに依存せず、一定であった。これは液体の結果と全く異なり、液体における緩和の非線形性が非アレニウス性にあることが実証された。
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[Publications] Takaaki Hikima: "Determination of Potentially Homogeneous-Nucleation-Based Crystallization in o-Terphenyl and an Interpretation of the Nucleation Enhancement Mechanism" Phys. Rev.B52. 3900-3908 (1995)
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[Publications] Takaaki Hikima: "Discovery of a Potentially Homogeneous-Nucleation-Based Crystallization around the Glass Transition Temperature in Salol" Solid State Commun.93. 713-717 (1995)
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[Publications] Hiroki Fujimori: "Correlation Index [T_<gα>-T_<gβ>]/T_<gα> and Activation Energy Ratio Δ ε_<aα> Δ ε_<αβ> as Parameters Characterizing the Structure of Liquid and Glass" Solid State Commun.68. 447-455 (1995)
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[Publications] Hiroki Fujimori: "Calorimetric Study of 1,3-diphenyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane: Emergence of α-, β-, and crystalline-glass transitions" J. Non-Cryst. Solids. (in press). (1996)