1996 Fiscal Year Annual Research Report
低温極薄膜固体と低エネルギーイオンの反応ダイナミックス
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06453019
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Research Institution | Yamanashi University |
Principal Investigator |
平岡 賢三 山梨大学, 工学部, 教授 (80107218)
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Keywords | 低エネルギーイオン衝撃 / イオン衝撃 / ファンデルワールス薄膜 / リフレクトロン型飛行時間質量分析計 |
Research Abstract |
イオン工学やプラズマ技術の分野で低エネルギーイオンと固体の衝突現象を利用した応用技術が発展しているが、基礎過程の詳細が明らかにされていないため、さらに高度な応用のための指導原理の解明が急がれている。本研究は、0-数keVの低エネルギーイオンと極薄膜の衝突相互作用を詳細に検討し、衝突素過程を解析することを目的としている。 超高真空排気装置に、新たに設計・製作したリフレクトロン型飛行時間型質量分析計を取り付けた。この装置は、入射イオンを試料面に対して垂直に入射できるという従来にない画期的な方式を採用している。このため、入射イオンの衝突エネルギーを極めて厳密に制御することが可能となった。イオン反射電極系の最終電極を極低温冷凍機のコールドヘッドに圧着したシリコン基板とした。これに種々の気体試料を超高真空下(10^<-10>-10^<-11>Torr)で真空蒸着した。このファンデルワールス薄膜に、希ガスイオンを衝撃し、発生する二次イオンの生成メカニズムの詳細を検討した。その結果、以下のような新しい知見を得た。 1.サイズの小さいHe^+イオン衝撃では、運動量移動は起こりにくく、固体中の原子・分子の電子励起が起こりやすい。生成したホールや励起子が固体マトリックス中でフォノンエネルギーに移行し、イオンのスパッタリングに寄与する。 2.Ne^+衝撃では、He^+に比べて運動量移動がおこりやすく、イオンスパッタリング効率がHe^+に比べてはるかに大きくなる。また、He^+イオン衝撃では、検出されないクラスターイオンが強く観測される。これは衝撃波の発生を示す。 3.希ガス薄膜のイオン衝撃により、マトリックス中に生成したホール及び励起子が長距離拡散し、下層の分子を蒸発・イオン化させることが分かった。これは、新しい表面分析法として発展する可能性を秘める。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 平岡賢三: "高速粒子による衝突活性化" J.Mass Spectrom.Soc.Jpn. 44. 577-624 (1996)
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[Publications] K.Hiraoka,M.Nasu: "Bond energy oscillation in the cluster ion NO^+(NO)n" J.Chem.Phys.105. 9068-9071 (1996)
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[Publications] K.Hiraoka,M.Nasu: "Gas-phase stability and structure of the cluster ions CF_3^+(CO)n" J.Phys.Chem.100. 5245-5251 (1996)
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[Publications] K.Hiraoka,A.Shimizu: "Gas-phase stability of cluster ions SF_m^+(SF_6)n with m=0-5 and n=1-3" Am.Soc.Mass Spectrom. 6. 1137-1142 (1995)
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[Publications] K.Hiraoka,S.Fujimaki: "Gas-phase positive and negative ion mo/eale reactions in NF_3" J.Phys.Chem.99. 15822-15829 (1995)
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[Publications] K.Hiraoka,H.Fukasawa: "High-flow liquid chromatography/maosspeotromety intaface" Rapid Commun.Mass Spectrom. 9. 1349-1355 (1995)