1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶本 興亜 京都大学, 理学部, 教授 (30029483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 陽 京都大学, 理学部, 助手 (00222266)
吉村 洋介 京都大学, 理学部, 助手 (10192428)
原 公彦 京都大学, 理学部, 講師 (80025436)
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Keywords | 内部回転 / 電子移動反応 / 時間依存蛍光スペクトル / 超高速ジェット / クラスター |
Research Abstract |
単結合回りの内部回転は、多くの生体分子の化学反応において重要な働らきを持っている。例えば、光合成における電子移動の速さは、電子伝達を仲介する分子の内部回転角に大きく依存しており、平衡角の周りでの内部回転の速さが律速過程として重要である。我々は、ビアントラセンと極性分子との錯体を取り上げ、内部回転と電荷移動状態生成反応の詳細な関係を研究してきた。本研究課題では、静的な内部回転ポテンシャル関数の決定から一歩進んで、電子移動反応を含むポテンシャル曲面上でのダイナミックスをピコ秒の実時間で追跡することを目指した。 具体的には、ビアントラセンと水との錯体をジェット中に発生させ、これを励起した後の時間発展蛍光スペクトルの時間発展を観測した。すなわち、現有のピコ秒チタンサファアイレーザーを用いて、ビアントラセン(BA)-水錯体を光励起し、いくつかの波長で各々時間発展を観測し、これを組み合わせてスペクトルを描いた。この結果、50ps程度の高速で新しい電子状態への遷移が起こっていることが判明した。また、新しい電子状態の寿命が蛍光波長依存性(10-20ns)を示しており、この電子状態でのエネルギー移動過程を反映している可能性もある。 さらに時間分解能の良い時間依存蛍光をとるために、アップコンバージョンの手法を検討し初期的実験を開始した。即ち、一つのチタンサファイアレーザーを光源とし、この倍波でBA-水錯体を励起し、時間遅れをおいて同レーザーの基本波をプローブ光として和周波を発生させ、照射時間内の蛍光のみを取り出している。定量的結果を得るのに今しばらくの時間を要する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Hara,N.Kometani,O.Kajimoto: "Picosecond Kinetics of the Excited State of 4-(N,N-dimethylamono)triphenylphosphine (DMATP)at high pressure" Chem.Phys.Lett.225. 381-385 (1994)
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[Publications] K.Honma,O.Kajimoto: "Symmetry Demand in Polar Excited State Formation of 9,9-Bianthryl in Clusters with Some Ketones" J.Chem.Phys.101. 1752-1754 (1994)