1995 Fiscal Year Annual Research Report
光解離で生じたジェミネート分子間の溶媒ケージ内反応ミクロダイナミクス
Project/Area Number |
06453025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 正 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 善則 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90135674)
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Keywords | ジェミネート過程 / アミノフェニルジスルフィド / ラジカルダイマ / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
無極性溶媒中でアミノフェニルジスルフィドの光分解により生成するp-アミノフェニルチイルラジカル対のジェミネート過程をピコ秒過渡吸収測定により調べてきた。この系は以下のような興味深い性質を示し、溶液反応のダイナミクスを明らかにするためのモデルとなりうることが解った。 1.ジェミネート対の吸収スペクトルが解離した自由なラジカルに比べブロードである 2.ジェミネート対からのラジカルダイマーの生成が観測される 3.ジェミネート対の寿命がフェニルチイル等の他のラジカル対と比べ長い 特に、ジェミネート対と解離ラジカルのスペクトルが異なるということはこれまで他の系では観測されていなかった。これはラジカル間の相互作用が大きいことを意味しており、一般の系と異なる挙動を示す原因ともなり、上記の2,3のような特徴が現れると考えられる。 ジェミネート対の過渡吸光度の減衰、および、スペクトル幅の減衰の時定数の温度効果を測定した。初期のスペクトル幅には大きな温度効果は見られなかった。これは光解離により生成した直後のラジカル間距離がこの程度の温度変化では変わらないことを示している。サンドイッチ型のラジカルダイマーがジェミネート対から生成していることを確かめた。ジェミネート対の解離の活性化エネルギーを求めると3kcal/Mとなった。ダイマー生成速度にはほとんど活性化エネルギーは無い。また、スペクトル幅の緩和の活性化エネルギーは約6.7kcalと溶媒粘度の活性化エネルギーに比べてかなり大きな値が得られた。この系ではラジカル間の強い相互作用により比較的距離にラジカル対を長時間保つことが重要であるが、さらに双極子間の反撥により再結合が妨げられることも加わり以上に示す挙動が観測できたと考えられる。
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[Publications] Y.Hirata: "Rotational relaxation of rod like molecules : diphenylacetylene in various solvents" J.Mol.Liquids. 65/66. 421-424 (1995)
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[Publications] Y.Hirata: "Photodissociation and Geminate Dynamics in Solution Phase-Picosecond Transient Absorption Studies of Tetraphenylhydrazines and Diphenyl Disulfides" Res.Chem.Intermed.21. 823-836 (1995)
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[Publications] M.Kitazawa: "Solvent Viscosity Dependence of Bimolecular Reaction Rete Constant of the Excited 9-Cyanoanthracene Quenched by 1,3-Cyclohexadiene" J.Mol.Liquids. 65/66. 321-324 (1995)