1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453030
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
松本 吉泰 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (70181790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 恭一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80235473)
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Keywords | 高速原子 / 表面反応 / 白金表面 / 酸素交換反応 / 表面光化学 / 光解離 |
Research Abstract |
本年度は主に金属表面上での吸着種の光解離によって生成される高いエネルギーを有する原子と他の吸着種との反応について実験を行った。Pt(111)表面上のNOとO_2の共吸着系では低温で酸素原子の交換反応が起きることを明らかにした。この反応には分子状の酵素が関与していると思われるが、酸素分子として反応に関与しているのか、あるいは、吸着酸素分子が解離した際に生じる表面と平衡状態になる前の酸素原子がかかわっているのかという点は明らかでない。そこで、この共吸着系に紫外光を照射すると吸着酸素分子が解離しエネルギー的に高い酸素原子が生成することを利用し、酸素交換反応のメカニズムを明らかにしようとした。 高エネルギー原子と共吸着種との反応のもう一つの例として、P(111)表面上のメタンの光解離とそれに続いて起きる水素原子とメタン、あるいは、メチルラジカルとメタンとの反応についての検討を行った。193nm照射によりメタンは光解離を起こし、水素原子とメチルラジカルを生成する。そこで、水素原子をあらかじめ吸着させておいた表面にメタンを吸着させ193nmの光を照射したところ収率としては少ないがメタンの光解離によって生成したメチルラジカルと水素原子との間の再結合反応が起きることを光照射後の昇温脱離によって見出した。この反応は約10kcal/mol程度の反応障壁があると考えられ、メタンの光解離で生成された水素原子やメチルラジカルはこの障壁を乗り越えるのに十分なエネルギーを有していることがわかる。更に、このダイナミックスを明らかにするために、この反応によって生成し脱離してくるメタンのエネルギー分布を測定している。
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