1994 Fiscal Year Annual Research Report
高歪み多環化合物の構築とその構造変換による新規化学種の合成研究
Project/Area Number |
06453031
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 孝 北海道大学, 理学部, 教授 (20029482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大北 雅一 北海道大学, 理学部, 助手 (60211786)
今井 敏郎 北海道大学, 理学部, 講師 (80184802)
|
Keywords | シクロファン / デュワ-ベンゼン / 高歪み化合物 / 多環化合物 / 光反応 |
Research Abstract |
1.無置換ビス(Dewarベンゼン)化合物1の合成を行い、その光異性化による無置換[1.1]パラシクロファン2の生成確認とスペクトル測定に成功した。その性質と化学反応挙動の解析を現在進めている。 2.3の合成を目指してジケトン4aの6への変換とアセチレン等価体のDiels-Alder付加による7の骨格形成を検討した。6のジエノフィルに対する反応性は高くなく各種置換アセチレンとの反応は対応するDiels-Alder付加体を与えなかったが、無水マイレン酸の付加と続く脱炭酸によって7の合成に成功した。今後、3への変換を試みる。 3.[4]パラシクロファンの不安定性は歪の集中する橋頭位での高い反応性に起因する。4aから誘導される4bの光異性化によって生成する5bでは熱的安定性の上昇が認められた。橋頭位での反応に対する立体遮蔽の効果によると考えられる。より嵩だかい置換基の導入、たとえば5c、による[4]パラシクロファンのより一層の安定化を目指す予定である。 4.4aの光および熱による5aへの変換とその光分解による新規化学種8の生成を検討した。4aの光反応性はこれまでの架橋Dewarベンゼンと異なって5aへの異性化を行なわず、また熱分解では5aへの異性化はおそらく起こるものの続く反応では脱カルボニルが優先して起こり8を与える分解過程は主反応とはならないことが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Takashi Tsuji: "Photochemical Generation of Bicyclo 4.2.2 decapentaene from 4.2.2 Propellatetraene" Journal of the American Chemical Society. (印刷中). (1995)
-
[Publications] Masakazu Ohkita: "Generation,Spectroscopic Characterization,and Reactions of 3,4-Benzotropone" Journal of the American Chemical Society. (印刷中). (1995)