1994 Fiscal Year Annual Research Report
常磁性磁化率測定による基本的非ケクレ炭化水素の基底状態スピン多重度の決定
Project/Area Number |
06453035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩村 秀 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (10011496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 建児 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (80262145)
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Keywords | ジラジカル / テトラメチレンエタン / 非ケクレ分子 / 基底三重項状態 / マトリックス単離 |
Research Abstract |
平成6年度は,2,3-ジメチレンシクロヘキサ-1,3-ジエンに関する研究を主に行った。 合成はW.R.Rothの方法を採った。オルトフタル酸から出発して,7段階で5,6-ジメチレン-2,3-ジアザビシクロ[2,2,2]オクト-2-エンとし,光分解反応の原料を得た。 このアゾアルカン化合物を2-メチルテトラヒドロフラン剛性溶媒中で光フィルターを通した高圧水銀ランプの光を用いてESRキャビティー中で光分解反応を行った。光分解反応の条件を詳細に検討することにより,この光分解反応は用いる光の波長により,異なった生成物を与えることが明らかとなった。つまり,365.0nmの輝線を主に含んでいると考えられる条件では光分解生成物由来のシグナルは観測されなかったのに対して,312.6nmの輝線を含んでいる条件では,D値,E値共に大きい三重項由来のシグナルが観測された。また,302.2nmの輝線を含んでいる条件では,D値,E値共に小さい三重項のシグナルが観測された。また三重項に特徴的と言われるΔm_s=2の領域には前者のD,E共に大きいシグナルのみ観測された。このことからこの光分解反応では二段階の反応が起きており,報告されているDowdのスペクトルは当研究で明らかとなった二種類の反応生成物を両方含んだ混合物に由来することが分かった。 平成7年度はこの2種類の生成物に関する知見をさらに深め、当初の目的を達成するために,希ガスマトリックス中でのIR測定を行うと共に,2Kまでの低温条件下でESR測定を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kenji Matsuda: "Exploratory and Mechanistic Studies of the Trimerization Reaction of Benzoylacetylenes in the Presence of a Secondary amine" Chem.Lett.1994. 1765-1768 (1994)
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[Publications] Kenji Matsuda: "Photochemical Production of Highly Ordered Spins in Organic Solids" Mol.Cryst.Liq.Cryst.253. 33-40 (1994)
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[Publications] Masaki Noro: "Carbene-Carbene Interconversion between 1-and 3-Phenyl-2-propynylidenes" J.Am.Chem.Soc.116. 6179-6190 (1994)
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[Publications] Weston Thatcher Borden: "Violations of Hund's Rule in Non-Kekule Hydrocarbons:Theoretical Prediction and Experimental Verification" Acc.Chem.Res.27. 109-116 (1994)
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[Publications] Hiizu Iwamura: "Acetylenic Compounds as Building Blocks for High-Spin Molecules and Molecular Assembies" P.J.Stang and F.Diedrich(in press),