1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良坂 紘一 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (50016151)
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Keywords | 光増感反応 / 光学活性ホウ素化合物 / 光アミノメチル化反応 / 2-デオキシリボース誘導体 / β-グリコシド / 1,3-シクロペンタンジオール / ホウ酸エステル |
Research Abstract |
1.本研究の第一の目的である光増感部位を持つ光学活性ホウ素化合物の合成に関しては、フェニルメントールを出発物質とし、8段階でジシアノフェニルメントール誘導体を合成することが出来た。引き続いてこの化合物を用いて、クロトン酸のジアステレオ選択的な光アミノメチル化反応を試みた。対照実験として、フェニルメントールより誘導されるクロトン酸エステルを用い、ジエチルトリメチルシリルメチルアミン、ジシアノベンゼンの存在下、光照射を行った場合には光アミノメチル化が進行しなかった。しかし今回合成した、分子内に光増感部位を持つジシアノフェニルメントール誘導体のクロトン酸エステルを用いて、ジエチルトリメチルシリルメチルアミンの存在下光照射を行なうと、光アミノメチル化反応が進行し、γ-アミノエステルがジアステレオ選択的(40%d.e.)に得られることがわかった。 2.平面構造を持ち側鎖のアリール基が反応の制御に重要な役割を果たすことが期待される、環状ホウ酸エステルの合成法を確立した。このホウ素化合物と2-デオキシリボース誘導体とのホウ酸エステル生成反応について検討を行い、これが高い選択性でβ-グリコシドと優先してホウ酸エステルを生成することを見出した。またホウ酸エステル生成により、テトラヒドロフラン環上の水素原子に高磁場シフトが観測された。これは当初考えたように、2-デオキシリボース誘導体のテトラヒドロフラン環がアリール基の遮蔽領域に存在し、このホウ素化合物が5員環の下面を効果的に覆っているためと考えられる。さらに、1,3-シクロペンタンジオールのモノシリルエーテルとのホウ酸エステル生成反応について同様の検討を行ったところ、この場合においてもトランス体と優先してエステル生成が認められ、しかもシクロペンタン環上の水素原子に高磁場シフトが観測された。
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