1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453039
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助教授 (60151065)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
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Keywords | 有機電導体 / 超伝導 / 分子錯体 |
Research Abstract |
テトラチアフルバレン(TTF)錯体に代表されるように導電性を示す分子錯体は構成分子が層状に積み重なった結晶構造を持つということが常識であった。しかし、近年、開発されている10K以上の高い臨界温度を示す有機超伝導体(例えばBEDT-TTFのCu(NCS)_2塩)はTTF分子が対を作り、交互に配向しながら二次元電導層を形成した結晶構造を示している。この構造は一般にκ型と呼ばれ非常に興味がもたれているが、κ型錯体が形成する理由や従来の結晶形を示す分子錯体より高い超伝導転移温度を示す理由はよく分かっていない。そこで高温超伝導体を追究するにはκ型分子錯体のモデル化合物の研究を行ない、その電子状態を研究し、モデル化合物に基づくκ型分子錯体の研究を行なうことが肝要と考えた。本研究では、κ型有機超伝導体の最適モデル化合物として、TTFおよびBEDT-TTFの積層型シクロファン化合物に着目し、その系統的合成研究を行なった。その結果、BEDT-TTFが完全に重なった二量体およびクロスに重なった二量体シクロファンの合成に成功した。電子吸収スペクトルおよびサイクリックボルタンメトリー法で二つのBEDT-TTFが架橋鎖に依存しながら互いに相互作用していることが観察できた。さらに各々の構造はX線結晶構造解析法で詳細に解明でき、その物性と構造の相関について明らかにすることができた。現在、これらのシクロファンを母体とするκ型分子錯体の形成およびその電導性を検討中である。
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[Publications] Kazuo Takimiya: "Naphtho〔1,8-bc:5,4-b′c′〕dithiophene:A new heteroarene" Journal of Chemical Society,Chemical Communications. 1859-1860 (1994)
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[Publications] Shu Yoshida: "Novel electron acceptors bearing a heteroquinonoid system.4.Syntheses,Properties,and Charge-Transfer Complexes" Journal of Organic Chemistry. 59. 3077-3081 (1994)
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[Publications] Tetsuo Otsubo: "Syntheses and properties of novel dimeric tetrathiafulvalenes linked with an ethenylene or ethynylene spacer" Chemistry Letters. 2047-2050 (1994)
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[Publications] Kazuo Takimiya: "Highly conductive 1:1 radical cation salts of anthra[1,9-cd:4,10-c′d′]bis[1,2]dichalcogenoles" Bulletin of Chemical Society of Japan. 67. 766-772 (1994)