1994 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒和の立体相互作用に関する熱力学および速度論的研究
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06453051
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石黒 慎一 九州大学, 理学部, 教授 (80111673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 徹 九州大学, 理学部, 助教授 (40128103)
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Keywords | 三元錯体 / 配位子間相互作用 / 非水溶液反応 / ジメチルホルムアミド / 速度論 |
Research Abstract |
ニッケル(II)イオンのトリスビピリジン錯体の生成速度は水溶液と同様ジメチルホルムアミド(DMF)中でもかなり早いが、DMF中で塩化物イオンが共存すると生成速度が異常に遅くなることが精密滴定カロリメトリーによる三元系の研究の中で見いだされた。この原因を平衡、速度および構造の面から解明することを目的とした。平衡論的測定の結果、三元錯体として[NiXL]^+,[NiX_2L],[NiXL_2]^+,[NiX_2L_2](X=Cl,L=bpy)の生成が確認され、トリスビピリジン錯体[NiL_3]^<2+>の生成過程には[NiL_2]^<2+>,[NiXL_2]^+および[NiX_2L_2]の3つの錯体が関与していることが予想された。したがって、[NiL_3]^<2+>の生成反応速度は[Cl^-]に依存する。塩化物イオン濃度の異なるいくつかの溶液で測定を行い、見かけの速度定数がビピリジン濃度の一次に比例し、塩化物イオン濃度の一次に反比例して変わることがわかった。また、逆反応の速度定数は塩化物イオン濃度に依存しないでDMFの値も水溶液中を大差ないことがわかった。この逆反応の結果は、二座配位子のビピリジンが解離する過程であり合理的である。一方、[NiXL_2]^+および[NiX_2L_2]から[NiL_3]^<2+>の生成が[NiL_2]^<2+>からの生成に比べて遅くなる理由は定性的にいくつかのモデルが考えられた。例えば、中間体としての[NiXL_2N]^+の存在である。ここでNは単座配位のビピリジンである。この構造の場合、単座配位ビピリジンの一方と配位している塩化物イオン間にと強いn-π相互作用が働き、塩化物イオンの脱離を妨げる可能性がある。しかし、このモデルを最終的なものにするには、さらにフェナントロリンなど類似の配位構造を形成する配位子の三元系を平衡、速度および配位構造に関する系統的研究を行う必要があることが判明した。さらにジメチルアセトアミド溶媒中での反応と比較し立体効果の影響も検討する必要がある。今後、この方面の研究を深めていく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Ishiguro: "Steric effect on solvation and complexation of metal ions in solution" Pure&Appl.Chem.65. 393-398 (1994)
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[Publications] H.Suzuki,M.Koide,S.Ishiguro: "Solutionequilibria of binary and ternary zinc(II)halogeno complexes in N,N-dimethylacetamide" Bull,Chem.Soc.Jpn.67. 1320-1326 (1994)
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[Publications] K.Ozutsumi,Y.Abe,R.Takahashi,S.Ishiguro: "Chloro and bromo complexation of the Mn(II)ion and solvation structure of Mn(II),Co(II),Mi(II),Cu(II)and Zn(II)in HMPA" J.Phys.Chem.98. 9894-9899 (1994)
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[Publications] M.Koide,H.Suzuki,S.Ishiguro: "Steric interaction of solvation and sterically enhanced halogeno complexation of Mn(II),Co(II)and Ni(II)ions in DMA" J.Solution Chem.23. 1257-1270 (1994)
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[Publications] M.Koide,S.Ishiguro: "Molar enethalpies of transfer of some divalent transition metal ions and their chloro complexes from DMF to DMA" J.Solution Chem.24(in press). (1995)
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[Publications] M.Koide,S.Ishiguro: "Thermodynamics and structure of isothiocyanato complexes of Mn(II),Co(II)and Zn(II)in DMA" Z.Naturforsch.50a(in press). (1995)