1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質2分子膜の高次相転移現象と乳化系の安定性について
Project/Area Number |
06453059
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
田嶋 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (90087114)
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Keywords | リン脂質二分子膜の高次相転移現象 / リン脂質二分子膜のESR / DMPC液晶の熱安定性 / リン脂質二分子膜の小角x-線回折 / リン脂質乳化剤によるエマルション / DMPG液晶の熱安定性 |
Research Abstract |
平成6年度はリン脂質1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Phosphocholine (DMPC)と1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Phospho-rac-1-Glycerol Sodium Salt (DMPG)の水分散系につき次の3項目の研究を行なった。 1)DMPCおよびDMPGの水分散系を調製し、3種類のDoxyl Stearic Acid型スピンプローブ5NS 7NS 12NSを用いて、ESRスペクトルの温度依存性を精確に測定した。その結果、これらリン脂質のゲル-液晶転移温度(DMPCでT_M=23.9℃,DMPGでT_M=23.7℃)より高い温度のDMPCでT^*=29.0℃、DMPGでT^*=31.2℃で超微細構造因子(A_N′)、配向性因子(S_<33>)などのESRパラメターが変化することが確認できた。これらより、(L_α+H_2O)相の二分子膜状態における高次相転移現象の発現を分子レベルの熱挙動から確認することができた。これらの結果は現在J.Phys.Chem.に投稿中である。 2)リン脂質二分子膜のT^*における高次相転移現象を二分子膜の長面間距離(Repeat Distance)の変化として求めるためにDMPC液晶の小角x-線回折を測定した。測定温度幅は22℃から40℃で、1-2度ずつの変化で測定をした。その結果、Repeat DistanceはT_M<T<T^*とT^*<Tで異なる温度依存性を示すことを明らかにすることができた。この結果は現在、日本化学会に投稿中である。 3)DMPCとDMPGの水分散系を用いて、ヘキサデカンの乳化分散性の温度依存性を調べた。調製したエマルションの粒子径、表面電位(ζ-potential)、熱安定性等を精確に測定した。その結果、これらの因子は何れもT^*温度前後で明瞭に変化することが分かった。これらの知見はColloid and Surfaces Aに投稿準備中である。
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