1996 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質2分子膜の高次相転移現象と乳化系の安定性について
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06453059
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
田嶋 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (90087114)
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Keywords | リン脂質二分子膜の高次相転移現象 / DMPC液晶の熟安定性 / リン脂質乳化剤によるエマルション |
Research Abstract |
小角X線散乱法による二分子膜の長面間隔の温度依存性: DMPCの水分散系を調製して、24h予め熟成した試料について、小角X線散乱の測定を行った。測定温度24℃から40℃までほぼ1℃おきにDMPCの長面間隔を測定して、その温度依存性を求めた。その結果、高次相転移温度T^*(29.0℃)前後で明らかに面間距離の温度依存性が変化することが分かった。次に、DMPG水分散系についても測定を行った。DMPGの高次相転移温度T^*(31.7℃)以下の温度では二分子膜の長面間隔は48.0Aとなり測定をすることができたが、T^*以上では10日間以上経時しないと回折が観測されないことが分かった。その結果、DMPG二分子膜はT^*温度で高次の膜相転移が起こり、構造の再配列が完成するまでに大きな経時変化を伴うことが確認された。これらの結果はリン脂質2分子膜のDSCの測定結果と併せてミクロ熱挙動として現在投稿中である。 高次相転移温度前後におけるエマルションの安定性: DMPCラメラ液晶でヘキサデカンを乳化してエマルションを調製した。25℃のDMPC分散液で調製して、25℃、29℃、35℃の温度でエマルションの粒子径の温度依存性を測定した。一方、35℃でエマルションを調製して、25℃、29℃、35℃の温度でエマルションの粒子径の温度依存性を測定した。これらの動的過程を解析して、合一速度と合一のための活性化エネルギーを決定した。その結果、合一の活性化エネルギーは25℃と35℃で調製したエマルションで2倍異なることが確認された。これらの結果は日本化学会第49回コロイド界面化学討論会および日本化学会第72春季年会で発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田嶋和夫、今井洋子、他: "リン脂質のスメクッチク液晶状態の界面化学的性質" 油化学. 45. 647-653 (1996)
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[Publications] 田嶋和夫、他: "気液界面におけるリン脂質膜-界面の熱力学の立場からみたリン脂質分散液-" 熱測定. 23. 178- (1996)
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[Publications] 田嶋和夫: "バイオサーファクタントの役割" Pharm Tech Japan. 12. 1141- (1996)
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[Publications] K.Tajima,Y.Imai,et al: "ESR Study on DMPC and DMPG Bilayers in the (L_a+H_2O) Phase" Langmiur. 12. 6651-8 (1996)
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[Publications] K.Tajima,Y.Imai,et al: "Thermal Properties of Hexadecane Emulsion Stabilized with Dimyristorylphosphatidylchaling" J.Jpn.Oil Chem.Soc.46. 283-291 (1997)
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[Publications] 田嶋和夫: "コロイド科学 第III巻 第8章バイオサーファクタント" 東京化学同人, (1996)