1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体系のホメオスタシスをモデルとする生体イオン,分子の分析法の創案
Project/Area Number |
06453067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 正雄 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (50002176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠田 浩司 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (60212065)
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Keywords | ホメオスタシス / カルモジュリン / 合成ペプチド / M13 / カルシウムセンサ / 表面プラズモン共鳴 / バイオセンサー |
Research Abstract |
本研究は複数の蛋白の機能が協同するホメオスタシスの機能を人工膜化学系で構築することにより,新しい原理のイオン,分子検出法を創製することを目的としている. 生体系に存在するカルモジュリン蛋白質(CaM)は,外的刺激によって細胞内に動員されたCa^<2+>センサーである.CaMは細胞でのCa^<2+>活量(濃度)の増加に伴い,Ca^<2+>に特異的な構造変化を引き起こし,標的蛋白質に結合する.合成ペプチドM13は,ミオシン軽鎖リン酸化酵素のCaM結合部位を構成する26アミノ酸残基からなる塩基性ペプチドである.本研究では,CaMをCa^<2+>に対する感応素子として利用し,Ca^<2+>の結合により誘起したCaMと固定化M13との結合による三元錯体の量からCa^<2+>濃度を求める新規化学センシング法を初めて試みた.三元錯体の量を評価するためには,表面プラズモン共鳴(SPR)装置を使用し,CaM-金属イオン錯体が金電極上のデキストラン膜に固定化されたM13に結合することにより生ずる化学修飾膜の誘電的変化に起因する表面プラズモン変化から,カルシウム濃度依存性と金属イオンに対する選択性を評価した.その結果,Ca^<2+>濃度が3.2x10^<-8>Mから9.6x10^<-7>Mの範で三元錯体の生成に基づく応答が得られた. 一方,0.1MまでのMg^<2+>,Li^+,K^+に対して応答を示さなかった.一方,Sr^<2+>イオンは5.1x10^<-4>M以上で応答を示した.本センシングシステムは,CaMによるCa^<2+>の選択的認識と構造変化といゔ二重゙の選択性発現機構が組み込まれており,それによりCa^<2+>に対しでall or none゙型の特異的応答と高感度が得られたことになる.生体系には,本研究で示したCaMと同様な機構で情報伝達を行う仕組みが広く存在する.本アプローチを利用する新たな分析方法が今後期待される. 更に,プロトンポンプであるバクテリオロドプシン(高度好塩菌から抽出,精製)と能動輸送キャリアを同時に包埋したリポソーム系によるハイブリッド能動輸送系の構築を現在行っている.
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[Publications] M.Sugawara: "Factors Affecting Background Permeabilities of Ordered Mono-Bi-and Multilayers as Channel Mimetic Sensing Membranes" Anal.Sci.10. 343-347 (1994)
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[Publications] K.Odashima: "Channel Mimetic Sensing Membranes Based on Host-Guest Molecular Recognition by Synthetic Receptors" Interfacial Design and Chemical Sensing. 123-134 (1994)
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[Publications] 遠田浩司: "膜を横切る信号の伝達に基づく化学センシングの新しい展開" 膜. 19. 122-132 (1994)
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[Publications] N.Namba: "Molecular resolution images of a calix[6]arene from atomic force microscopy" Langmuir. 11(in press). (1995)
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[Publications] M.Sugawara: "Current Topics in Biophysics" 未定, (1995)