1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453069
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊豆津 公佑 信州大学, 理学部, 教授 (70025336)
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Keywords | pHセンサー / pH-ISFET / 酸化イリジウム電極 / 非水溶液のpH |
Research Abstract |
本研究は,非水溶液用高性能pHセンサーを開発して非水溶液系のpH測定法を確立するとともに,酸塩基パラメーターとしてのpHの非水溶液化学における有用性を示すことを目的とするものである。 1.pHセンサーとして窒化ケイ素(Si_3N_4)型および酸化タンタル(Ta_2O_5)型電界効果トランジスタ(pH-ISFET)と酸化イリジウム電極を耐溶媒性を重視して作製し,種々の非水溶媒中の応答感度,応答速度,応答領域などを従来からpHセンサーとして用いられているガラス電極と比較しながら検討した。使用した2種のpH-ISFETおよび酸化イリジウム電極はいずれもネルンスト勾配で応答した。また応答速度もガラス電極よりずっと速く,ときにはガラス電極で数時間を要する酸塩基滴定が数十秒の短時間で迅速に行えた。応答するpH領域もガラス電極より広い場合が多かった。またこれらのpHセンサーはプロトンの溶媒和センサーとしても熱力学的に応答した。 2.以下の研究でこれらの高性能pHセンサーの有用性を示した。(1)酸塩基に対して不安定な溶媒であるγ-ブチロラクトン中の酸塩基平衡の研究は,応答の遅いガラス電極では困難であるが,応答の速い2種のpH-ISFETを用いて酸解離定数や自己プロトリシス定数の決定を行い,良好な結果を得ることができた。(2)酸化イリジウム電極を用いるpH測定によって数種の溶媒中のアルカリ土類金属イオンの加溶媒分解反応と水酸化物生成について定量的な知見を得ることができた。(3)pH-ISFETを用いて種々の溶媒間のプロトンの移行活量係数を決定した。以上,速やかに応答する高性能pHセンサーの開発により,非水溶液のpH測定が容易になり,非水溶液化学の分野でpH測定法の応用性を広げることができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 伊豆津公佑: "非水溶液化学の新展開-ポテンショメトリー的アプローチ" 電化. 62. 113-118 (1994)
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[Publications] T.Nakamura: "Response of polyacrylamide-benzo-15-crown-5 coated platinum electrode to calcium ion and some other cations in PC." Anal. Chim.Acta. 292. 305-310 (1994)
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[Publications] K.Izutsu: "Some recent studies on the use of electrochemical sensors in nonaqueous solution chemistry." Electroanalysis. 7. 884-888 (1995)
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[Publications] 伊豆津公佑: "電気化学における「純度」の測定と評価(1)溶媒と電解質について" 電化. 64. (1996)
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[Publications] K.Izutsu: "Acid-base equilibria in γ-butyrolactone studied by use of pH-ISFET." Talanta. (印刷中).
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[Publications] K.Izutsu: "Potentiometric study of complexation and solvation of litheium ions in some solvents related to lithium batteries." Electrochim. Acta. (印刷中).
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[Publications] 伊豆津公佑: "非水溶液の電気化学" 培風館, 276 (1995)