1994 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ミセルを用いるミセル動電クロマトグラフィー・質量分析法結合に関する基礎研究
Project/Area Number |
06453070
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺部 茂 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50115888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 敬 愛媛大学, 理学部, 教授 (60094281)
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Keywords | ミセル動電クロマトグラフィー / 質量分析法 / MEKC-MS / エレクトロスプレーイオン化法 / 高分子ミセル / BBMA |
Research Abstract |
第一工業製薬(株)より提供を受けたアクリル酸ブチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸共重合体(BBMA)およびその類似体である高分子界面活性剤と硫酸ドデシルナトリウム(SDS)のような低分子量界面活性剤との,ミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)用擬似固定相としての特性の比較検討を行った.高分子界面活性剤の場合には1分子が1ミセルを形成するので,臨界ミセル濃度(CMC)は0であると考えられ,このことは実験的にも確認された.高分子界面活性剤が分子ミセルを形成することは,有機溶媒等の添加に対してもミセルが安定に存在すると考えられ,このことも実験的に確認された.このように高分子界面活性剤は,低濃度での使用が可能であり,また高濃度の有機溶媒存在下でもMEKCの擬似固定相として使用することができ,このことはMEKCをオンラインで直接質量分析計に接続する場合に有用であると結論された. MEKCの質量分析計(MS)への直接結合には,現有のMS(日立M1000)の関係でエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を採用した.しかし,現有MSは高速液体クロマトグラフィーとの直接結合用に設計された装置なので,キャピラリー電気泳動用にインターフェースの改造,スプレーノズルの自作等を行って実験した.その結果,BBMAをミセルとして用いたMEKCは,MSに直接結合してMSを検出器として使用できることが明らかになった.BBMAに由来するピークはほとんど認められず,また試料のイオン化を抑制することも少なかった.中性試料の分離検出も可能であり,MEKC-MSが可能であることを明らかにできた.しかし,ESIでイオン化できる試料は比較的限定されているので,別のイオン化法も検討する必要がある.今後は,本研究の成果に基づいてインターフェースの改良,感度の向上を行い,MEKC-MSの実用化をめざす予定である.
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