1994 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカィト型酸化物の金属-絶縁体転移機構の解明
Project/Area Number |
06453078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田口 秀樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (20188139)
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Keywords | ペロブスカイト型構造 / 金属-絶縁体転移 / リ-トベルト解析 / マンガナイト / 電気的性質 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型構造をとるCaMnO_3の一部をLa,Nd,Gdなどの希土類元素(Ln)で置換した(Ln_<1-x>Ca_x)MnO_3をスイッチ素子などの電子材料として利用するためには、電気的性質(金属-絶縁体転移温度あるいは金属伝導体領域での抵抗の温度係数)を制御する条件を明らかにする必要がある。本研究では、(La_<1-x>Ca_x)MnO_3の電気的性質の測定、リ-トベルト法による構造解析などより、金属-絶縁体転移の機構の解明することを目的とする。 今年度は、酸化ランタン、炭酸カルシウム、二酸化マンガンを出発原料として用い酸素気流中1300℃で焼成することにより、0≦x≦0.1の範囲で(La_<1-x>Ca_x)MnO_3を合成し、リ-トベルト法による構造解析を行なった。格子定数はxとともにほぼ直線的に減少し、この減少は12配位のLa_<3+>イオンよりCa_<2+>イオンの半径が大きいためと考えられるが、リ-トベルト解析の結果よりMn-O間の距離はxに依存せず約1.905Åであり、O-Mn-O間の角度は一定(90°および180°)であることからMnO_6八面体は歪みを持たないことがわかった。ところが、Mn-O(1)-Mn間の角度はxとともに157.9°から154.8°に、Mn-O(2)-Mn間の角度は159.4°から157.9°に減少していることから、隣り合ったMnO_6八面体同士の結合角度がxとともに変化していることが明かになった。 最近、研究代表者はペロブスカイト型構造をとる(La_<1-x>Nd_x)CrO_3およびNd(Cr_<1-x>Mn_x)O_3系の電気的性質と結晶構造との関係においても、CrO_6あるいは(Cr,Mn)O_6八面体同士の結合角度の変化が重要な働きを行なう。すなわち、遷移金属イオンのt_<2g>軌道と酸素イオンのp_π軌道との間の重なり方が電気的性質に影響を与えることを明らかにした。所定の温度での(La_<1-x>Ca_x)MnO_3の電気抵抗は、Nd(Cr_<1-x>Mn_x)O_3系の場合と同様、減少していることがわかった。この系におけるMnイオンのt_<2g>軌道と酸素イオンのp_π軌道との間の重なり方を詳しく調べるため、今後低温でのリ-トベルト解析を行なう予定である。
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