1996 Fiscal Year Annual Research Report
塵芥焼却炉環境を模擬した溶融塩・ガス複合高温腐食に関する研究
Project/Area Number |
06453086
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
成田 敏夫 北海道大学, 工学部, 教授 (60001252)
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Keywords | 超音波顕微鏡 / 表面弾性波 / 音速 / 非破壊検査 / イオン交換ガラス / 残留応力 / 表面改質 / V-Z曲線 |
Research Abstract |
本研究では、先ず、硫黄ガス(硫化水素-水素混合ガス)によるFe-Cr合金の硫化腐食挙動について検討し、以下のような成果が得られた。 Fe-Cr合金を硫黄分圧がFeSの解離圧よりも高い雰囲気で硫化するとFeS-CrSの固溶体硫化物が形成し、この硫化物中の拡散が律速であることを明らかにした。一方、低硫黄分圧では、合金中の相互拡散が律速となり、合金表面にCr欠乏層が形成される。このとき、合金の結晶粒界が選択的に硫化されることを見出した。 FeS-CrS固溶体硫化物スケールの成長速度を定量的に解釈するための基礎として、固溶体硫化物の非化学量論組成と化学拡散係数を、CrS濃度、硫黄分圧、温度の関数として決定した。その結果、陽イオン空孔濃度は、硫黄分圧とCrS濃度の増加とともに増加するが、温度の増大とともに低下する。 合金の結晶粒界に形成される硫化物はCrSである。その成長速度則は拡散律速となり、幅方向と深さ方向への成長速度定数は後者は前者の10^3倍大きい。一方、比較材としてFe-Mn合金を硫化した結果、通常の内部硫化となった。これについて、理論的考察を行い、その支配的要因として、合金の相互拡散、硫黄の溶解度と拡散係数が重要であることを明らかにした。 本研究の結果から、塵芥焼却炉環境における硫化反応については基礎的知見が集約できたと判断される。
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