液体MnおよびMn-Cu合金の浸透処理による溶射被膜の液相焼結

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06453087
• Research Institution: The Advanced Matarials Processing Institute Kinki Japan
• Principal Investigator: 大森 明 (財)近畿高エネルギー加工技術研究所, 副所長 (50029229)
• Keywords: プラズマ溶射 / 液体金属浸透 / ZrO_2(8%Y_2O_3)皮膜 / 液体焼結 / 貫通気孔 / 緻密化 / 硬度 / 破壊靱性

Research Abstract

本研究では、大気中プラズマ溶射で作成したZrO_2(M_xO_y=8%Y_2O_3,CaO,MgO)被膜を活性液体Mn及びMn-Cu合金浸透処理法により高緻密、高靱性及び高温で高安定性のセラミックス皮膜を作成し、このような皮膜の物性及び液体金属の浸透・焼結挙動と熱処理条件との関連を検討した。
1.ZrO_2溶射皮膜に対するMn及びMn-Cu合金の濡れ性及びZrO_2溶射皮膜の貫通気孔への浸透性との依存関係を実験及び数値解析結果により明かにし、Mn及び組成が≧35wt%MnのMn-Cu合金液体は≦1.33×10^<-1>Paの真空、又はAr雰囲気中での浸透が認められ、厚さが2000μm以下のZrO_2溶射皮膜に対し、液体金属は数分間以内(<0.18ks)で浸透・充填が充分に進行することが認められた。
2.ZrO_2溶射皮膜の微細貫通気孔に浸透・充填したMn及びMn-Cu合金液体の液体焼結作用により、ZrO_2溶射皮膜粒子が再結合し、皮膜組織が緻密化することが認められ、金属液体中のMn組成の増加及び浸透処理温度の増加よる液体焼結の駆動力である毛細管力(8〜25N/mm^2)の増加により組織の緻密化速度が著しく増大するのが認められた。又、合金組成等処理条件の最適化により皮膜組織の微細制御が可能であるのが認められた。
3.ZnO_2溶射皮膜に対するMn及びMn-Cu液体の浸透処理において、ZrO_2粒子間の焼結と共にMnのZrO_2粒子への拡散現象が認められ、Ar,N_2雰囲気中におけるZrO_2-Mn混合粉末に対する示差熱及び熱重量変化等の測定を含む同定結果により、純ZrO_2の単斜晶結晶構造がMnイオンのZrO_2粒子の固溶によりZrO_2安定相である立方晶構造への相変化及び相変化温度域を明かにし、Mn金属液体の浸透処理は溶射したままのZrO_2(Y_2O_3)皮膜に残存する単結晶をより安定な立方晶への変化を果たすメカニズムを明かにした。
4.処理した皮膜-Fe基鋼素材界面において、Fe-Me又はFe-Mn-Cu合金層の形成及び皮膜の緻密化・高靱性化により界面応力を抑え、良好な界面が得られることが認められた。
5.一定温度でのMn及びMn-Cu合金浸透処理による緻密化したZrO_2(8%Y_2O_3)皮膜の硬さは熱処理の保持時間の増加と共に増加され、7.2ks以上処理した場合は皮膜全体において約Hv1300になるのが認められ、例えば1473K、Cu-60%Mn合金の場合、組織が高度緻密化されたこのようなZrO_2皮膜の破壊靱性値は4.7MN/m^<3/2>に達し、それぞれ溶射したままのZrO_2皮膜より約1.8倍と2.9倍向上し、部分安定化焼結体PSZと同様なレベルに達するのが認められた。

Research Products

• [Publications] 周 展、大森 明、井上勝敬、村上健児: "Mu-Cu系合金融体の浸透処理によるZrO_2溶射皮膜の緻密化及び強化" 高温学会誌. 20. 301-309 (1994)
• [Publications] A.OHMORI,Z.ZHOU,K.INOUE: "Liquid-Mn sintering of plasma-sprayed zirconia-yttria coatings" Thin Solid Films. 251. 141-146 (1994)