1994 Fiscal Year Annual Research Report
Fe薄板に対するAlの拡散浸透による軟磁性の優れたFe-Al合金薄板の試作
Project/Area Number |
06453088
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大西 正巳 九州工業大学, 工学部, 教授 (90029041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 良徳 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50039111)
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Keywords | 鉄薄板 / アルミニウム / 拡散浸透 / 軟磁性 |
Research Abstract |
三塩化アルミニウム(AlCl_3)を揮発させ、非酸化状態で鉄と反応させてもアルミニウムは鉄中には拡散浸透しない。1200℃以上の高温でアルミニウムとAlCl_3とを反応させると、下式にしたがってアルミニウムのサブハライドAlClガスが生成する。 AlCl_3(gas)+2Al(liquid)=3AlCl(gas) (1) 装置内に搬送されるAlCl_3ガスと式(1)に包含され現実に使用されるAlの量によって発生するAlClガスの量が定まる。生成したAlClガスは式(1)の逆反応によってAlCl_3ガスとAlに解離するので、このアルミニウムを拡散浸透に利用する。アルミニウムを固溶したα鉄の単一相からなり、軟磁性が優れた薄板を作成することを本研究の目的とするので、式(1)で発生するアルミニウムが多ければ、鉄試料表面が純アルミニウムに覆われたり、あるいはFe-Al系の金属間化合物が鉄試料表面に形成することを避ける必要がある。またAlClガスは極めて腐食性が強く、炉心管など加熱部分に存在する磁器に包含されるシリコンと反応し鉄試料中にシリコンを浸透させる。さらに加熱炉を含めた装置内で使用したグリースあるいは樹脂から発生した炭化物ガスから炭素が鉄中に浸透する。 上記の諸点に注意し、0.7mm厚さ直径30mmの純鉄試料に加熱時間を種々に変化させて、アルミニウムを拡散浸透させ、α固溶体の濃度範囲で種々なるアルミニウム濃度の合金試料を得た。機械的加工によって、外径25mmおよび内径15mmとした環状試料について軟磁性を測定した。軟磁性はFe_3Al(25at%,約14mass%Al)組成で最良となり、最大透磁率:6500H/m、保持力:30A/mを得た。試料全体で見れば、アルミニウム濃度は不均一であり、結晶粒の大きさも不揃いである。今後はこの系での軟磁性がどの程度まで向上するかを明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)