1996 Fiscal Year Annual Research Report
定比組成を有する複合金属クラスターの合成とそれに基づく新規なシナジ-の創出
Project/Area Number |
06453099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 宗慶 東北大学, 工学部, 教授 (40091764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 光司 東北大学, 工学部, 助教授 (70185669)
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Keywords | 水素化脱硫反応 / Co-Mo触媒 / CyDTA / シナジ- / キレート剤 / NTA / EDTA / アルミナ |
Research Abstract |
本研究では機能性材料の命でもある相互促進効果(シナジ-)を分子論的に解明することを究極の目的として、特殊なキレート剤、金属錯体、金属イオン、ゼオライトなどを組み合わせて、定比組成で一定サイズの複合金属クラスターを合成し、この手法によって合成された定比複合クラスターを用いて、これまで不明であったシナジ-の原理を分子レベルで解明を試みる。これまで、アルミナ担持触媒の調製時にキレート剤(NTA)をMoとCoの塩に共存させると、相互促進的に作用するサイト(活性点)がほぼ選択的に形成され、ベンゾチオフェンの水素化脱硫反応(HDS)などに特異的な活性を示すことを明らかにしているが、平成7年度(EDTA),平成8年度(CyDTA)において、さらに効果の大きな新たなキレート剤を発見している。しかしながら、これらのキレート剤を含む錯体のゼオライトケージへの取り込みおよび、ケージ内での複合キレート錯体の生成は確認できなかった。一方、活性金属の組合わせ(Co-Mo)を変えてアルミナ担持触媒(Ni-Mo、Ni-W)を調製し、それらのHDS活性を検討した。その結果、NTAやCyDTAを添加してもNi-MoのHDS活性には殆ど変化が認められなかったが、Ni-Wについては、CyDTAを添加することによりHDS活性は大きく向上(約60%)することが見出された。Co-Moに比べ、キレート無添加でも元の活性の高いNi-Moには、キレート剤による活性促進効果が発現していない。これはキレート剤添加による活性促進効果の上限を示すとも考えられ、キレート剤の添加効果を発現させるためには、活性金属の組合わせも重要な因子になっていることが示唆される。いずれの場合も、MoS_2類似構造の平面方面への広がり(Moの分散性の低下)、或いはMoS_2類似構造の結晶性の向上が、高活性サイトの形成を促進していると推察される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K. Hiroshima: "High HDS Activity of Co-Mo/Al2O3 Modified by Some Chelates and Their Surface Fine Structures" Applied Surface Science. in press.
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[Publications] Seiji Kasahara: "Relationship between HDS Activity and Mo Site Fine Structure of Variously Pretreated Co-Mo/Al_2O_3 and Mo/Al_2O_3" Applied Catalysis, B. Enviromental. in press.
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[Publications] 廣島一崇: "硫化Co-Mo/Al_2O_3の脱硫活性と微細構造に及ぼすEDTAの添加効果" 石油学会誌. 40(1). 35-38 (1997)
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[Publications] Naoto Koizumi: "Effective Dispersion of Co in Co-Mo/Al_2O_3 Induced by High Pressure Sulfiding by Means of FT-IR Using NO as Surface Probe Molecule" Chemistry Letters. 815-816 (1996)
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[Publications] Seiji Kasahara: "Inhibiting Effect of H_2S on HDS Activity of CoMo-,NiMo-, and Mo/Al_2O_3" Catalysis Today. (1996)
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[Publications] 清水健博: "CoMo系脱硫触媒調製時におけるキレート剤の添加効果(第2報)-表面構造に対するNTA(ニトリロ三酢酸)の添加効果-" 石油学会誌. 39(2). 158-165 (1996)
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[Publications] Naoto Koizumi: "In-situ FT-IR/DRA study of NO adsorbed on Co-Mo/Al_2O_3 sulfided at high pressure (≦5.1MPa)" Elsevier, Studies in surface science and catalysis volume 106 HYDROTREATMENT AND HYDROCRACKING OF OIL FRACTIONS, 10 (1997)
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[Publications] 山田 宗慶: "クリーンフューエルを目指して-水素化精製触媒表面研究の最前線-" 表面, 9 (1997)