1994 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞培養系のオンラインモニタリングシステム構築のための基礎研究
Project/Area Number |
06453105
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 東京大学, 工学部, 教授 (20124373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 聡 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | 動物細胞培養 / オンラインモニタリング / FT-IR / 抗原抗体反応 |
Research Abstract |
本研究では、動物細胞培養系の培養液中のグルコースやグルタミンなどの基質、乳酸、アンモニアなどの代謝産物、抗体やサイトカインなどの生産目的蛋白質など、各種成分濃度を赤外吸収スペクトルを用いて総合的にオンラインモニタリングする技術を開発することを目的としている。本年度は、動物細胞培養用培地成分および生産物のATR-FT-IRスペクトルデータベースの構築と検出感度の検討、ならびにこの結果に基づくサンプルの前処理方法、測定方法の検討、サンプルの濃縮や各成分の液クロによる分画条件などの検討を行なった。 目的成分の濃度をATR-FT-IRスペクトルから求める際、水の吸収(1500〜1800,2000〜2300,2700〜3700cm^<-1>)やZnSe結晶の吸収(1000cm^<-1>以下)に妨害されない波数領域に存在し、かつできるだけ高い吸収強度を示すIR吸収に着目する必要がある。このようなIR吸収波数として、グルコースは1020cm^<-1>、グルタミンは1330cm^<-1>、乳酸は1220cm^<-1>の吸収バンドが適していることが明かとなった。また、蛋白質濃度の評価には水のHOH変角振動吸収(1640cm^<-1>)端近傍に吸収を持つ蛋白質のアミドII(1520〜1590cm^<-1>)が適していることが明かとなった。さらに、本年度購入したFT-IR分光光度計によるATR-FT-IRスペクトル測定では、各成分濃度の検出限界がグルコース、グルタミン、乳酸などでは約1g/l、蛋白質では5g/l程度であった。したがって、各成分の実用的な濃度レベルを測定するためには、グルコース、グルタミン、乳酸では10〜100倍、また、蛋白質では約1000倍に濃縮する必要があること明かとなった。また、動物細胞培養用の培地に含まれているアルブミンなどの蛋白質成分と、抗体などの目的生産蛋白質とを区別して測定することはかなり困難であり、目的蛋白質を選択的に測定するための手法の開発が必要であった。このような手法として、免疫診断などに用いられている抗原抗体反応を用いるELISA法を応用して、目的蛋白質の濃度を間接的にATR-FT-IRスペクトルから測定する方法を検討しその実用性を確認した。
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