1995 Fiscal Year Annual Research Report
固定化植物細胞における抗ガン剤タキソ-ル生産プロセスの開発
Project/Area Number |
06453106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古崎 新太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40011209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80206622)
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Keywords | タキソ-ル / パクリタキセル / イチイ / 抗ガン剤 / 植物培養細胞 / 連続生産 / 固定化 |
Research Abstract |
昨年度の成果を踏まえ,今年度は以下の検討を行った。 (1)膜型リアクターによるタキソ-ルの連続培養:細胞外にタキソ-ルが分泌されることが確認されたので,膜型のバイオリアクター(MBR)を用いて生産物を連続的に取り出すことを試みた。その結果,増殖は遅いものの,固定化細胞の場合とほぼ遜色のない生産速度が得られた。また,希釈率を一日あたり1から3まで上昇させることにより,生産速度を約2.2倍に向上出来,約40日間を経た現在も安定的な連続生産を続けている。 (2)固定化細胞によるタキソ-ルの生産:主としてゲル包括固定化イチイ培養細胞を用いた連続生産法により生産性の向上を検討した。希釈率を一日あたり5まで上昇させても流出培地中のタキソ-ル濃度はほぼ一定に保たれ,生産性は比例的に向上した。この減少は,培地中のタキソ-ルの溶解度が生産の律速になっていることを示している。また,数種のイチイ属培養細胞のタキソ-ル生産挙動を比較検討した結果,より生産速度の速い培養条件と細胞株が得られた。希釈律の向上と合わせて,従来の数倍の生産速度が実現された。 (3)タキソ-ル類の効率的な生産のための2段階培養:炭素源としてグルコースが増殖に,フルクトースが生産に適していることが示されたため,2段階培養法の適用を試み,生産向上を示す結果が得られた。また,溶存酸素濃度の低下も生産促進に有効であることが,MBRを利用した2段階培養によって示された。 (4)固定化イチイ培養細胞を用いたタキソ-ル生産のための効率的なプロセスの確立:イチイ培養細胞を用いたタキソ-ル生産のための効率的なプロセスの構築を目指して,培地からの吸着体によるタキソ-ルの分離方法の検討を行い,他のタキサン類に対して選択的な分離が可能な条件を見いだした。
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[Publications] M.Seki et al.: "Continuous Production of Taxol by Cell Culture of Taxus cuspidata" J.Chem.Eng.Japan. 28. 488-490 (1995)
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[Publications] M.Seki et al.: "Process for Continuous Production of Paditaxel with Cell Culture of T.cuspidata" CHEMTECH. 25(印刷中). (1996)
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[Publications] M.Seki et al.(分担): "Biochemical Engineering as a Key Technology for Bioindustry" (社)化学工学会, 145 (1995)