1994 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー蒸発/超音速分子流法による生体・合成高分子の多光子イオン化質量分析の研究
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06453110
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 藤太郎 九州大学, 工学部, 教授 (30127980)
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Keywords | 超音速分子ジェット / レーザー蒸発 / 熱分解 / レーザー分光 / 多光子イオン化質量分析 / 蛍光分析法 / 核酸 / 合成高分子 |
Research Abstract |
本研究では、まず反射型飛行時間型質量分析装置を開発することにより、質量分析の分解能を格段に向上させた。またイオン化室の器壁を液体窒素で冷却することにより、バックグラウンドを低下させ、感度を改善することができた。一方、光パラメトリック発振器と誘導ラマン効果と組み合わせることにより、全紫外・可視域における波長可変レーザーを開発した。 試料として合成高分子を用いる場合は、加熱法並びにレーザー蒸発法を用いて分解する方法について検討し、両者の差異を比較検討した。その結果、レーザー蒸発法はモノマーの親分子イオンが顕著に観測されることが分かった。しかし、熱分解法はモノマーが数個結合した大きな分子のイオンが観測され、ポリマーの高次構造を調べる上では有益であることが分かった。 一方、多光子イオン化にフェムト秒エキシマーレーザー(500fs、248nm)を利用する方法について研究を行った。その結果、ナノ秒レーザーパルスを用いた場合と比較して、イオン化効率が格段に向上することが分かった。さらにフェムト秒レーザーを用いる方法は、親分子イオンをより選択的に生成することが判明した。生体高分子である核酸(DNA)の塩基の一種であるアデニンのイオン化にもフェムト秒レーザーを利用したところ、親分子イオンに基づく顕著なイオンが観測され、合成高分子と同様の結果が得られた。
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[Publications] Shinichiro Kawamura: "Development of high-temperature pulsed slit nozzle and its application to supersonic jet absorption spectrometry" Talanta. 41. 1933-1936 (1994)
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[Publications] Masami Hozumi: "Supersonic jet/multiphoton ionization spectrometry of chemical species resulting from thermal decomposition and laser ablation・・" Proceeding of 7th international symposium on resonance ionization spectroscopy and its application. (in press).
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[Publications] Hiroshi Noda: "Supersonic jet absorption spectrometry utilizing xenon flashlamp and monochromator equipped with photodiode array" Analytica Chimica Acta. 302. 335-340 (1995)
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[Publications] Cheng H.Lin: "Prediction of chemical structure of aromatic hydrocarbons by pattern recognition of spectral lines obtained by fluorescence・・" Talanta. (in press).
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[Publications] 金田 隆: "ぶんせき(レーザー励起蛍光分析)" 日本分析化学会, 7 (1995)
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[Publications] 今坂藤太郎: "化学(実用化の時間を迎えつつある超音速分子ジェット分光分析法)" 化学同人(印刷中),