1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453122
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
曽我 直弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勝久 京都大学, 光学研究科, 助手 (80188292)
中西 和樹 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00188989)
平尾 一之 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90127126)
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Keywords | ガラス / ファラデー効果 / メスバウアー分光法 / フェライト / 超急冷法 / 磁化 / 結晶構造 |
Research Abstract |
高い飽和磁化を有し、かつ透光性に優れた物質の中は磁気光学素子および磁場遮蔽ガラスとしての応用が期待される。本研究ではこのような実用化を念頭に置き、新たな透光性酸化物磁性材料を作製し、その特性評価を行うことを目的とした。材料の透光性を保持しながら強い磁化を与える手法として、遷移金属酸化物を微粒子としてガラスマトリックスに分散した複合材料の作製、イオン当りの磁気双極子モーメントが大きい希土類イオンを多量に含むガラス組成の探索、および超急冷法を利用した非晶質フェライトの作製を試みた。さらに作製した材料の光学的、磁気的、磁気光学的特性の評価を行った。今年度に得られた具体的な研究成果を以下に要約する。 ナトリウムホウ酸塩系ガラスにおいてEu^<2+>を高濃度で含む組成を見出した。このガラスに対して波長が400-850nmの可視光領域で磁気光学効果の一つであるファラデー効果測定を行ったところ、過去に報告されたEuO系ガラスよりも大きいファラデー効果を示した。たとえばEuO濃度が一定の場合、同じホウ酸塩系で唯一報告されているEuO-Al_2O_3-B_2O_3系よりも大きなヴェルデ定数が得られた。この理由を、有効遷移波長、Eu^<2+>の数密度、有効遷移確率の観点から考察し、有効遷移波長の違いがヴェルデ定数の違いに最も大きく寄与していることを明らかにした。さらに、有効遷移波長と^<151>Euメスバウアースペクトルにおけるアイソマ-シフトとよい相関があることを見出し、高いファラデー回転角を有するガラスの材料設計を示した。 また、双ローラー法によって作製したZe-Fe-O系の超急冷化合物が室温においてもきわめて高い磁化を示すことを見出した。通常の固相反応法で作製した亜鉛フェライトが室温では常磁性であり、反磁性的秩序を示すネ-ル温度も10K程度ときわめて低いことを考えると、この強い磁化は超急冷の結果をもたらされたものであることが示唆される。X線回折およびEXAFS測定の結果、Zn^<2+>の一部が八面体サイトを占め、さらに少量のマグネタイトが固溶するために自発磁化が強くなることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)