1995 Fiscal Year Annual Research Report
電荷を有するチオール基の保護試薬の創製及びタンパク質工学への応用
Project/Area Number |
06453128
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 秀徳 岡山大学, 工学部, 教授 (80037613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 恵 岡山大学, 工学部, 教務員 (00170233)
妹尾 昌治 岡山大学, 工学部, 助教授 (90243493)
|
Keywords | チオール保護試薬 / 変性タンパク質の可溶化 / インクルージョンボディ / タンパク質工学 |
Research Abstract |
蛋白質工学上の諸問題を解決するための一環として前年度には環元蛋白質のSH基と特異的に反応し,混合ジスルフィド結合を速やかに形成するメタンチオスルホネート誘導体を種々合成した.それらは側鎖に正電荷,負電荷,あるいは中性親水基を持ち,還元蛋白質のSH基にそれぞれ正電荷,負電荷あるいは中性親水基を可逆的に導入できるものである.昨年度はこれらの試薬を還元蛋白質のSH基と反応させた結果,塩基性蛋白質であるリゾチームには正電荷を,酸性蛋白質であるBSAには負電荷を導入すると、これらの蛋白質は変性状態でも水に溶けることを示したが,本年度はこれらの試薬の性質のさらなる検討と蛋白質工学への応用を試みた。 1.ジスルフィド結合はアルカリ性では不安定なことが知られているので,これらの試薬でSH基を可逆的に修飾(保護)した還元リゾチームをpH8,40℃でトリプシン消化し,消化ペプチドの分析を行った結果,導入した保護基はこの条件で少なくとも17時間は安定であり,したがって大腸菌に生産された外来性蛋白質をこれらの試薬で可溶化し,さらにN末端を酵素的にプロセスすることが十分に可能であることがわかった。 2.5種類存在するヒトの膵臓型リボヌクレアーゼ(8個のシステイン残基を含む塩基性蛋白質)の内の4種類(RNase1〜4)を大腸菌に不溶性のインクルージョンボディとして菌体内に大量生産させる系を開発した。このうち多量の細胞壁断片を含むインクルージョンボディからは直接活性型に巻き戻すことができなかったRNase2とRNase4について、SH基を上記カチオン型の保護試薬で修飾したところ可溶性となり,細胞壁成分から簡単に抽出できた。しかも抽出したRNase2とRNase4は効率よく活性型に巻き戻った。さらに大腸菌にインクルージョンボディとして生産させた分泌型FGFリセプターの抽出と巻き戻しにもカチオン型の試薬は非常に有効であった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H.Tomizawa: "Effects of additives on irreversible inactivation of lysozyme at reutral pH and 100℃." J.Biochem.117. 369-373 (1995)
-
[Publications] H.Tomizawa: "Stabilization of lysozyme against irreversible inactivation by syppression of chemical reactions." J.Biochem.117. 635-640 (1995)
-
[Publications] M.Seno: "Molecular cloning and expression of human ribonuclease 4 cDNA." Biochim.Biophys.Acta. 1261. 424-426 (1995)
-
[Publications] Y.Maeda: "Effective renaturation of reduced lysozyme by gentle removal of urea." Protein Engineering. 8. 201-205 (1995)
-
[Publications] J.Futami: "Recombinant human pancreatic ribonuczease produced in E.coli : Importance of the amino-terminal sequence." Biochim.Biophys.Res.Commun. 216. 406-413 (1995)
-
[Publications] H.Tomizawa: "Stabilization of lysozyme against irreversible inactivation by alteration of the Asp-Gly Sequences" Protein Engineering. 8. 1023-1028 (1995)