1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453133
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三上 幸一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10157448)
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Keywords | 不斉合成 / エン反応 / 不斉触媒 / イミン / アミノ酸 / エナンチオ選択性 |
Research Abstract |
抗菌性あるいは抗腫瘍性などの重要な生理活性を有する化合物(マクロライドやプロスタグランジンなど)は、一般に多くの不斉中心を有し、その立体化学(不斉)が生理活性と密接な関係を持つ。この観点から、現代の有機合成化学の分野では、標的化合物の立体化学(不斉)の制御を高度にしかも効率的に行なえる不斉合成法の開発が最大の課題となっている。もちろん、この大きな問題の解決には様々なアプローチが考えられ、世界中で激しい開発競争がくりひろげられている。エン反応は、市販のオレフィンをそのまま求核剤として用いるため、究極的な不斉合成法となりうる大きな可能性を秘めている。しかしながら不斉合成法としてはこれまで未開拓の反応であり、特にエン反応を鎖状化合物の不斉合成手法として開発しようという視点はこれまでに殆どなかったものである。本申請研究は、そうした背景のもとエン反応の潜在的有用性にいち早く着目し、「エン反応を基盤とする効率的な不斉合成法」の開発と、標的とする「生理活性物質の不斉合成」への応用を目的とするものである。 平成6年度は、特にグリオキシラートのイミン誘導体のジアステレオ面選択的エン反応を検討し、α-アミノ酸の有効な不斉合成法となることを明らかにした。さらに、カルボニル-エン反応の不斉触媒化に関する研究成果に基づきイミン-エン反応の不斉触媒化にチャレンジした。しかしながら、イミン-エン反応は触媒的には進行するものの、そのエナンチオ選択性はきわめて低く、現在のところその不斉触媒化に成功しているとは言い難い。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 三上 幸一: "Asymmetric Catalysis of Carbonyl-Ene Reactions and Related Carbon-Carbon Bond Forming Reactions." Pure & Appl. Chem.(in press.).
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[Publications] 三上 幸一: "Asymmetric Imine-Ene Reaction: Diastereofacial Selective Reactions with Chiral Glyoxylate-Derived α-Imino Esters and Feasibility Studies on the Asymmetric Catalysis of Enantiofacial Selective Reactions with Prochiral α-Imino Esters." Amino Acids. (in press.).
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[Publications] 三上 幸一: "Asymmetric Imine-Ene Reactions with Chiral Glyoxylate-Derived a-Imino Esters: An Efficient Route to Asymmetric Synthesis of α-Amino Acids." Tetrahedron Lett.,. 34. 4841-4842 (1993)
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[Publications] 三上 幸一: "Stereoelectronic Rules in Addition Reactions: “Cram's Rule" in Olefinic Systems. Advances in Detailed Reaction Mechanisms, Vol 3" J. M. Coxon, ed, JAI Press: London, 34 (1994)
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[Publications] 三上 幸一: "Supra-Molecular Chemistry in Asymmetric Carbonyl-Ene Reactions Advances in Asymmetric Synthesis, Vol 1" A. Hassner, ed, JAI Press; London,44 (1994)