1996 Fiscal Year Annual Research Report
分子設計したルテニウム配位子場を活用する高選択的な炭素骨格形成反応
Project/Area Number |
06453134
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 健兒 名古屋大学, 工学部, 教授 (60023149)
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Keywords | ルテニウム触媒 / 高次付加環化 / 錯体触媒 / カルベン錯体 / メタセシス重合 / クラスター錯体 / フラーレン錯体 |
Research Abstract |
1.1,3,5-シクロオクタトリエン(COT),を配位子とする1,5-シクロオクタジエン(COD)ルテニウム(0)錯体の新たな配位子場を利用する付加環化反応として,Ru(COD)(COT)とプロピオール酸エステルを反応させたところ,トリエン配位子に対する[6+2]付加環化とともにCOD配位子に対する[2+2+2]付加環化が進行し,新規なトリシクロメタラサイクル・ルテニウム(II)錯体が生成することを発見した。さらにこのメタラサイクル錯体は加熱により二重の水素移動を起こし,対称構造をもつビス-π-アリル錯体,ビス(ビシクロ[4,2,2]デセン-エニル)ルテニウム(II),に変換されることを,両錯体のX線構造解析とNMRスペクトル結果から明らかにした。 2.平成6〜7年度に,末端アルケン類のジアゾ酢酸エステルを用いるシクロプロパン化において,分子設計した不斉三座窒素配位子をもつルテニウム(II)錯体が,ルテニウム・カルベノイド中間体を経由して,きわめて高い立体およびエナンチオ選択性を示すことを報告したが,今年度は,平成6年度以来検討を加えた(C_5Me_5)Ru活性種から形成したルテニウム(II)カルベノイド種が,ノルボルネンのメタセシス重合を誘起できることを新たに発見した。さらに中性の(C_5Me_5)RuClでは立体選択的にトランスの立体配置をもつ重合体がえられ,カチオン性活性種,[(C_5Me_5)Ru(メタリル)]^<2+>および[(C_5Me_5)Ru(ブタジエン)]^+,ではシス選択的重合が進行することも見いだした。 3.アセナフチレン,アセアンスリレンを面配位したルテニウム三核クラスター錯体を水素化したのち,一酸化炭素と処理することにより,フルベンの部分構造をもつ新規4,5-ジヒドロ誘導体に変換できる手法を開発した。 4.新たな遷移金属配位子場を構築することを目指して,新規なC60遷移金属イソニトリル錯体を創製するとともに,配位子構造を精密制御するためC60有機ケイ素誘導体の酸化還元機能などを探索した。
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[Publications] Nagashima,Hideo Itoh,Kenji: "Selective Hydrogenation of Aromatic Hydrocarbons Using a Triruthenium Carbonyl Cluster as a Template to Control the Hydrogenation Site:" J.Am.Chem.Soc.
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[Publications] Nagashima,Hideo Itoh,Kenji: "Thermal Study of a Silylmethylated Fullerene Leading to Preparation of Its Vacuum Deposited Thin Films" Chem.Lett.
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[Publications] Nagashima,Hideo Itoh,Kenji: "Electronic Structure and Redox Properties of Silylmethylated C60" Tetrahedron.
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[Publications] Nagashima,Hideo Itoh,Kenji: "Organopalladium and Platinum Complexes of C60 Bearing Isonitrile Ligands"