1995 Fiscal Year Annual Research Report
典型金属元素の転位を活用する活性中間体の創製と複素環分子設計への応用
Project/Area Number |
06453138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松 満男 大阪大学, 工学部, 教授 (60029197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 忍 大阪大学, 工学部, 助教授 (30184659)
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Keywords | 典型金属元素 / 分子内転位 / 1,3-双極子 / シクロ付加 / 複素環化合物 / チオカルボニルイリド / アジリジン / アゾメチンイリド |
Research Abstract |
本研究では、スズやケイ素などの典型金属原子の分子内転位による双極子性活性化学種の発生法の開発と、それらの自己閉環やシクロ付加による複素環合成への応用の展開を目的とした。 1)既に見い出していたα-シリルイミンのN-シリルアジリジンへの熱転位をさらに詳細に検討した。α-スタニルおよびα-ゲルミルイミンではアジリジンを与えないが、分子軌道計算によると1,3-双極子中間体とアジリジンの熱力学的安定性がケイ素とスズで逆転することが判明した。 2)上記の1,2-転位反応の中間体であるアゾメチンイリドとフラーレンを含む広範な親双極子剤とのシクロ付加による複素環合成を展開し、中性条件下、脱ケイ素化剤等の添加剤を要しない新規な1,3-双極子発生法として確立した。 3)本転位反応の反応性は置換金属のルイス酸性の順とは異なりSn>Si>Geであった。最も温和な条件で進むα-スタニルイミンの場合、末端炭素にイリド安定化置換基をもたない非安定化アゾメチンイリドの発生においても有効であるため、適用範囲の大幅な拡張が可能になった。 4)α-シリルアミドのシリル基の酸素上への1,4-転位によるアゾメチンイリドへの熱異性化についても詳細に検討し、フラーレンを含む種々の親双極子剤とのシクロ付加による複素環合成を展開し、新しいアゾメチンイリドの発生法として確立した。とくに、第二級アミドの場合には、形式的にニトリルイリド等価体として作用するという興味ある事実を明らかにした。 5)ヘテロ原子を窒素から硫黄に拡張し、α-シリルチオールエステルのシリル基の熱転位に基づくチオカルボニルイリド発生を経由するエノールシリルエーテルの生成や、親双極子剤による捕捉に成功した。さらに反応条件や転位置換基を検討すれば一般化できる可能性が高い。
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