1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖タンパク質N-アスパラギン型オリゴ糖鎖の化学修飾による機能化
Project/Area Number |
06453142
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 誠一郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00051475)
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Keywords | 複合糖質の合成 / カルバ糖(擬似糖質) / シクリトールの化学 / 糖転移酵素阻害剤 |
Research Abstract |
複合糖質のオリゴ糖鎖は多様な生物機能発現を担う部位として、近年生化学・有機化学の分野で大きな注目を集め、急速に様々な性質が明らかにされてきた。本研究は化学的な研究の進んでいる糖タンパク質N-アスパラギン型オリゴ糖鎖に関わる生合成経路に対して合成化学的手法を用いて、糖転移酵素、糖加水分解酵素の活性発現をコントロールし、それによって、細胞表層の生化学的性質を解明することを目的としている。初年度は、標記オリゴ糖鎖のコア構造をなすトリマンノシル構造を、先ず2個のカルバ糖(5a-carba)によって置き換えた擬似三糖類を合成した。結合様式はイミノ基あるいはエーテル基を介するものであり、このように一分子中に2個の擬似糖を含む三糖類としては最初の例である。この合成によって両結合様式でさらに四糖、五糖類の合成できる道が確立されたと言ってよいと思われる。これらの生理活性にていては、未だ適した糖転移酵素の研究例がないので、一応一般的なグリコシダーゼに対する阻害活性を測定した。イミノ結合をもつものは、適度な阻害活性をα-マンノシダーゼに対して示した。エーテル結合のものは全く活性が認められなかった。このデータを参考にして、N-アセチルグルコサミン転移酵素Vがはたらく、三糖構造の中央部のα-D-マンノース残基をカルバ糖で置き換えた三糖を合成した。この化合物は本転移酵素に関する研究では一人者であるカナダのHindsgaul教授と共同して生理活性を検定した。その結果、天然の基質と全く区別できない同等の挙動を示した。先の研究から予測はされていたが、明らかな結果に驚くと同時に、本手法によるオリゴ糖鎖の機能解明の可能性と発展のための大きな発見に到達することができたように思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Ogawa,T.Furuya,H.Tsunoda: "Synthesis of β-D-GlcpNAc-(1→2)-5a-carba-α-D-Manp-(1→6)-β-D-Glcp-O(CH_2)_7CH_3:A Reactive Acceptor Analog for GlcNAcT-V" Carbohydrate Research in press(1995). (1995)
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[Publications] S.Ogawa,S.Sasaki,H.Tsunoda: "Synthesis of Carbocyclic Analogs of the Mannosyl Trisaccharide:Ether-and Imino-Linked Methyl 3,6-bis(5a-carba-α-D-mannopyranosyl)-3,6-dideoxy-α-D-mannopyranosides" Carbohydrate Research in press(1995). (1995)
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[Publications] S.Ogawa,Ed.Y.C.Lee and R.T.Lee: "Methods in Enzymology,Vol.247,Neoglycoonjugates Part B Biomedical Application" Academic Press,New York, 450 (1994)