1995 Fiscal Year Annual Research Report
π-配位子系に基づく新規リビングカチオン重合-重合制御の一般原理の確立
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06453149
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
澤本 光男 京都大学, 工学研究科, 教授 (90150325)
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Keywords | カチオン重合 / リビング重合 / π-配位子系 / 生長炭素カチオン / 重合触媒 / ビニルエーテル / スチレン / ルイス酸 |
Research Abstract |
本研究は、「π-配位子系による炭素カチオンの安定化」という新概念に基づいて、ビニル化合物のリビングカチオン重合を可能とする新規開始剤系を開発することを目的とする。平成7年度は、スチレンおよびビニルエーテル(VE)の重合において、この概念による新規開始剤系を探索し、あわせてこれらの重合の生長種の性質を核磁気共鳴分光法(NMR)により直接解析した。 (1)種々の配位子をもつチタン錯体によるリビングカチオン重合 塩化水素とVEの付加体を開始剤とし、これとフェノキシ基などのπ-配位子を導入したチタン錯体[Ti(OR)_nCl_<4-n>;n=2,3]を活性化剤とすると、スチレンおよびVEのリビング重合が可能なことを見出した。これらの錯体では電子供与性の配位子ORの数nが増加すると、そのルイス酸性が減少し、モノマーの反応性に応じた酸性の錯体の選択がリビング重合の実現に重要であった。たとえば、反応性の大きいVEには、比較的酸性の低いn=3の錯体が、またスチレンにはn=2が有効であった。 (2)多核種NMRによる生長種の直接解析 上記および関連するリビング重合に対応したモデル反応系を低温でNMRにより直接観測し、生長炭素カチオンの性質と濃度、対アニオンおよび活性化剤(ルイス酸)との相互作用などを検討した。まず強いルイス酸存在下の実験から、NMRにより炭素カチオンを直接観測可能であることを確立した。また、リビング重合に適した活性化剤を用いると、生長炭素カチオンの濃度が著しく低下していることも見出した。これらから、π-配位子系により生長炭素カチオンあるいは開始剤成分の性質の制御が可能となった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mitsuo Sawamoto: "Titanium-Based Lewis Acids for Living Cationic Polymerization of Vinyl Ethers and Styrene: Control of Lewis Acidity" Macromolecular Symposia. 98. 153-161 (1995)
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[Publications] Mitsuo Sawamoto: "Alkoxy-Substituted Titanium(IV)Chlorides as Lewis Acid Activators for Living Cationic Polymerization of Isobuty1 Viny1 Ether" Macromolecules. 28. 5671-5675 (1995)
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[Publications] Mitsuo Sawamoto: "In-Site ^<13>C and ^1H NMRAnalysis of the Growing Species. in Living Cationic Polymerization of Isobuty1 Viny1 Ether by HCL/SnCl_4" Macromolecules. 28. 3747-3775 (1995)
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[Publications] 澤本光男: "窒素塩基存在下でのスチレンのリビングカチオン重合-置換イミダゾールの効果" 高分子学会予稿集. 44. 171 (1995)
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[Publications] 澤本光男: "チタン錯体によるカチオン重合-錯体設計に基づくリビング重合と立体規制の可能性" 高分子学会予稿集. 44. 1290-1291 (1995)