1995 Fiscal Year Annual Research Report
振動ゾーン延伸法による高強度・高弾性率繊維の作製とその高次構造の研究
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06453154
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Research Institution | YAMANASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
功刀 利夫 山梨大学, 工学部, 教授 (50020384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 章泰 山梨大学, 工学部, 助教授 (70216357)
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Keywords | 振動ゾーン延伸 / 振動熱延伸 / ゾーン延伸 / ポリエチレンレテフタレート / ポリプロピレン / ナイロン / 非晶鎖配向係数 / 力学的性質 |
Research Abstract |
平成7度の研究実績は下記のとおりである。 繊維の高強度・高弾性率化を目的とした振動ゾーン延伸及び振動熱延伸をポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びポリプロピレンなどの繊維に適用し、以下の結果を得た。 (1)種々の振動周波数、振動変位、印加張力及び延伸温度のもとで繊維を延伸した。その結果、繊維の白化や切断などが起きない範囲では、振動変位と印加張力が大きいほど得られた繊維の力学的性質は高くなった。しかし、振動周波数については、未延伸状態で既存の結晶を含むナイロンやポリプロピレン繊維などと、未延伸でほぼ非晶質のポリエチレンテレフタレート繊維では、効果的に延伸できる周波数は異なる。すなわち、前者は後者より低い周波数で振動の効果が現われた。また、振動を加えない場合と比べると、振動下での延伸が力学的性質を向上させるのにより効果的であった。 (2)振動下と無振動下で処理した繊維の高次構造を比較すると、振動ゾーン延伸及び振動熱延伸繊維の結晶化度は無振動下で処理した繊維に比べて低い。また、結晶サイズは振動下で得られた繊維のほうが小さい傾向にある。結晶の配向性では両者に大きな相違は観察されない。しかし、非晶鎖の配向性には相違がみられ、振動下で得られた繊維の非晶配向係数は高い。これらの高次構造因子から、振動は結晶化を抑制し、非晶鎖の配向性を高める効果がある。 以上の結果から、振動ゾーン延伸及び振動熱延伸では、繊維の力学的性質を支配する非晶鎖の配向性を高めることで繊維の高強度・高弾性率化が図られたと考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 中沢、功刀、鈴木: "ポリイミド樹脂の硬化条件と力学的性質との関係" プラスチック成形加工学会誌. 6. 356-362 (1994)
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[Publications] 鈴木,内藤、功刀: "ポリメタクリル酸メチルフィルムのゾーン延伸における延伸温度と臨界ネッキング応力との関係" 高分子論文集. 51. 500-503 (1994)
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[Publications] 中沢、功刀、鈴木: "ポリアミノビスマレイミドの熱処理条件と力学的性質との関係" 高分子論文集. 52. 69-75 (1995)
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[Publications] 功刀利夫: "高強度・高弾性率繊維研究の最近の状況" 平成7年度繊維学会夏季セミナー講演要旨集. 第26回. 17-20 (1995)
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[Publications] T. Kunugi, H. Okuzaki: "Electrical and Mechanical Properties of the Zone-Drawn Polypyrole films" Journal of Polymer Science, Polymer Physics. (in press).
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[Publications] T. Kunugi, A. Suzuki: "Preparation of High-Modulus Poly(ethylene telephthalate) Fibers by Vibrating-Hot-Drawing" Journal of Applied Polymer Science. (in press).
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[Publications] 功刀利夫(分担): "先端材料事典" 株式会社産業調査会 事典出版センター, 795 (1995)
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[Publications] 功刀利夫(分担): "第5版 化学便覧 応用化学編II" 丸善株式会社, 1824 (1995)