1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正路 徹也 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (40011093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 博彰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10092181)
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Keywords | 硼珪酸塩ガラス / 変質過程 / 水熱法 / 放射性廃棄物 / 加熱実験 / ポルサイト / ストロンチウムアナルサイト / 溶解 |
Research Abstract |
Ca0-B_20-Si0_2-Al_2O_3-Sr0-Ce_20系の種々の組成の硼珪酸塩ガラスを作成し、乾式法と水熱法の二つの方法により加熱実験を試みそれぞれのガラスの変質過程を鉱物学的、物理・化学的に究明。この研究は放射性廃棄物処理のためのガラス固化体の評価に対する基礎的データを提供することを目的の一つとする。 加熱実験は、200°Cと250°Cの温度条件および蒸気圧曲線の圧力条件下(水熱法の場合)で行われた。加熱時間は1日2日、4日、7日、14日、21日、28日、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、4年・・・。現在の処6ヶ月までの加熱結果が得られている。6ヶ月以上の加熱実験に関しては現在続行中か実験計画中である。ガラスからの結晶生成物として次のようなSrやCeを含む鉱物種が確認された。ポルサイト:CaAlSi_2O_6.H_2O、ストロンチウムアナルサイト:SrAl_2Si_4O_<12>.2H_2O、グメリナイト:(Na_2、Ca,Sr,Cs)Al_2O_3.6H_2O、ワイラカイト:(Ca,Sr)Al_2O_3.4SiO_2、硼酸ストロンチウム水和物:SrB_2O_4・4H_2O、珪酸ストロンチウム水和物:SrSiO_3・nH_2O。他に、SrやCeを含まない鉱物種として斜長石、アナルサイト、硼酸ナトリウム水和物、タンブライト:CaB_2Si_2O_8、硼酸カリウム:KB_2O等が確認された。 ところで、乾式法によるガラスの加熱実験ではガラスの結晶化は認められなかったが、水熱加熱実験では次の二点のことが分かった。一つは、CeやFeの元素を含むガラスの結晶化は比較的遅いことである。もう一つは結晶、特にSrやCeを含む鉱物種の生成や成長過程に2種類の機構が考えられることである。すなわち、2種類の組織が顕微鏡下で確認された。ひとつは放射状の組織、もうひとつはガラス粒子が周辺より結晶化を蒙り、加熱時間の長・短に関わらず中央部が未変質のガラスの状態の組織である。前者はガラスの構成元素が一度水中に溶解した後再沈殿した生成条件が考えられるが、後者はガラスそのものが直接鉱物に変質していく機構が考えられる。両者の組織はガラス組成に依存するようである。この点に関しては今後の研究課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shoji,T., and Kaneda,H.: "An interactive system to assist mineral identification in ore microscopy" Math.Geol.26. 961-972 (1994)
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[Publications] 正路徹也・古宇田亮一・金田博彰: "情報-コスト関数による探査手法の最適組合せ" 資源と素材. 111. 145-147 (1995)
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[Publications] 正路徹也: "1994年度の資源探査" 資源地質. 45. 173-191 (1995)
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[Publications] Shoji,T., Tsukada,H., Mariko,T., and Kaneda,H.: "Immiscibility of the grossular-spessartine series under a water pressure of 100 MPa" Mineral. Jour., 313-321. 17. 313-321 (1995)
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[Publications] Kaneda,H.: "The importance and geological application of some laboratory techniques in mineralogy" Proc. Geosci. Coll., Geol. Surv. of Pakistan. 6. 107-113 (1993)
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[Publications] Kaneda,H.: "Mineralogy and alterationof the Kalam volcanics in KalamSwatvalley-a supplement for the paleomagnetic study" Proc. Geosci. Coll., Geol. Surv. of Pakistan. 6. 60-65 (1993)
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[Publications] 正路徹也 他: "日本金山誌(第4編:関東・中部)" 資源・素材学会, 233 (1994)
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[Publications] 正路徹也 他: "日本金山誌(第5編:近畿・中国・四国)" 資源・素材学会, 93 (1994)