1994 Fiscal Year Annual Research Report
チューリップ球根に貯蔵されたデンプンとタンパク質の低温による分解促進機構
Project/Area Number |
06453162
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
五十嵐 太郎 新潟大学, 農学部, 教授 (50018537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 卓爾 新潟大学, 農学部, 助教授 (30152268)
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Keywords | チューリップ / 球根植物 / 低温貯蔵 / 促成栽培 / デンプン / α-アミラーゼ / タンパク質 / キャピラリー電気泳動 |
Research Abstract |
チューリップ球根を夏期に低温貯蔵することにより促成栽培が可能であり、実用化されている。低温処理の生理機構については不明な点が多いが、球根内貯蔵デンプンや貯蔵タンパク質の分解が促進され茎葉部や根の成長に利用しやすい糖やアミノ酸などに転換することが重要であると考えられている。本年度の研究では、球根をバイオフォトチャンバー内で低温貯蔵した球根と20℃に保った対照球根の成分および分解酵素活性の変動を調べた。低温処理した球根のアミラーゼ活性は、低温貯蔵期間中に対照よりやや高まり、植え込み後さらに活性が上昇した。α-アミラーゼ活性の局在性を調べたところ、低温処理球根、対照球根ともにリン片外皮近傍に強い活性が見られた。一方、リン片内部のデンプン集積部位では、低温処理区で活性がみられたが、対照区の活性は低かった。このことが、低温処理区でのみデンプンのショ糖やフラクトオリゴ糖への変換が促進される理由であると判断された。等電点電気泳動後、活性染色することにより、α-アミラーゼのアイソザイムを調べたところ、三本のバンドが区別でき、低温処理区で植え込み後特に活性が高まった。球根リン片より、硫安塩析および各種クロマトグラフィーを用いてα-アミラーゼを精製したところ、SDS電気泳動で単一のバンドが得られ、分子量は約46kDaと推定された。タンパク質分解酵素活性の変化は温度処理で大きな差はなかった。貯蔵タンパク質の量的変動を調べるために、キャピラリー電気泳動装置で球根のタンパク質抽出液を分析したところ、十数本の独立したピークが得られた。今後、貯蔵タンパク成分の時期別変動と温度処理による違いを調べる予定である。さらに、cDNAライブラリーを構築するため、球根リン片から全RNAを分離する条件を検討した。
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