1995 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌プロテアーゼ生産における情報伝達と制御因子のリン酸化に関する研究
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06453169
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 暉夫 東海大学, 海洋学部, 教授 (10236606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 光雄 東海大学, 海洋学部, 講師 (80204163)
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Keywords | Bacillus subtillis / alkaline protease / degS-degU / degR / proB |
Research Abstract |
1. proB遺伝子産物によるdegR遺伝子の発現制御.degRの発現機構について研究を行い次のことが明らかになった。i) degRの転写開始点をprimer extension法により決定したが、この転写はProBの存在下で阻害された。ii) σ^D因子構造遺伝子であるsigDを破壊すると、degRの発現は起こらなかった。iii) ProBによる阻害効果はdegSに依存していた。iv) ProBは他のσ^D依存性遺伝子であるhagの発現も阻害した。v) degRの-10配列をσ^D型からσ^A型に変換するとProBによる阻害が観察されなくなった。vi) ProBはsigDの発現には影響を及ぼさなかった。これらの結果を総合し、ProBはσ^Dの生成を阻害するのではなく、生成されたσ^D因子の機能を阻害し、その結果σ^D因子に依存するdegRの発現を阻害すると結論した。ProBはプロリン生合成過程の一酵素であるので、degRの発現を制御するということは細胞内の栄養状態がdegRの発現に影響を与え、その結果プロテアーゼの生産に影響を与えるということが示唆され、枯草菌の菌体外プロテアーゼ生産の合目的性の一端を見ているように思われる。(J. Bacteriol. 178 216-222 (1996)に発表) 2. ProBによるDegS、DegUのリン酸化の検討.本課題は、当該のタンパク質を精製するにとどまった。 3.正の制御因子DegUの作用機構.DegUの末端部位にはリン酸化を受ける領域が存在するが、この部分を多コピーで枯草菌に導入するとプロテアーゼ生産の阻害が観察される。リン酸化の程度に変異をもつ種々のDegUのN末端部位を導入すると、リン酸化を受けない変異DegUとリン酸が安定に存在できる変異DegUのN末端ではプロテアーゼの生産に阻害効果はほとんど観察されなかった。この結果は、N末部分はそれが由来するresponse regulatorとリン酸に対して競合することにより阻害がおきるとされている従来の知見とは異なる新しい発見である。
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