1994 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体機能イメージングのための核医学診断薬の開発
Project/Area Number |
06453183
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 稔 九州大学, 薬学部, 教授 (70101178)
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Keywords | 核医学診断薬 / NMDA受容体 / チェニルシクロヘキシルピペリジン / フッ素-18 / 標識合成 |
Research Abstract |
N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)感受性受容体は、興奮性シナプス伝達物質L-グルタミン酸によって活性化される受容体のサブタイプの一つで、神経系の初期発生、シナプス適応性や脳いっ血等に深く関わっている。そのため、NMDA受容体は神経退行疾患、脳虚血等の治療標的とされている。本研究者はNMDA受容体拮抗剤として非競合的分子TCP(1-(1-(2-thienyl)cyclohexyl)piperidine)を選択し、これに^<11>Cおよび^<18>Fを標識核種とする合理的化学修飾を施すことにより、NMDA受容体の核医学的研究を推進させるためにインビボリガンドの創製を進めている。 チオフェン環の5位にフルオロエチル基、およびシクロヘキサン環の2位にハイドロキシメチル基を導入した新しいTCP誘導体の非放射性合成は、2-ハイドロキシメチルシクロヘキサンを出発原料とするフッ素アニオンと求核置換反応を含む合成経路により達成し、さらにシクロヘキサン環上のCH_2OH基がチオフェン環に対してトランスあるいはシス位にある立体異性体の分離精製も高い化学的純度で得ることが出来た。現在、NMDA受容体に対するインビトロ下での親和性を評価するため、ラット脳ホモジネートを用いた[^3H]TCP結合を50%阻害するに要するIC_<50>値の算出を、本研究で得られた10種の新規化合物について検討している。メタンスルフォネート体を基質とする^<18>Fアニオン試薬を用いる2種類の新規リガンドの標識合成に関しては、HPLCによる分離精製後、比放射能500-1000Ci/mmol、化学的にも放射化学的にも高純度のラジオリガンドを得る技術の開発に成功した。さらに、^<11>C標識リガンド創製のための合成反応を開発する研究において、CO_2あるいはCH_3Iを反応試薬とするTCP分子のアルキル化反応に着目し、TCP分子のチオフェン環の5位のカルボキシル基あるいはメチル基を短時間で高収率で導入することに成功した。このアプローチは標識合成に容易に適応できる。
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