1995 Fiscal Year Annual Research Report
Diels-Alder反応による二環性糖部を持つヌクレオシドの立体選択的合成
Project/Area Number |
06453184
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 彰 北海道大学, 薬学部, 教授 (90157313)
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Keywords | ディールス・アルダー反応 / ヌクレオシド / 立体選択的合成 / 面選択性 / 位置選択性 |
Research Abstract |
セカンドメッセンジャーであるcAMPの細胞内濃度は,ATPよりcAMPを合成するアデニレートシクラーゼおよびcAMPを5′-AMPに分解するホスホジエステラーゼ(PDE)により調節されている.PDE阻害剤としてカフェイン,テオフィリン等が古くから知られているが作用が多岐にわたり,薬理作用の分離が極めて困難である.従って,PDEに対する特異的な阻害剤の開発はPDEのアイソザイムの機能や臓器特異性を知るうえで重要である.近年,cAMPと構造が類似しているグリゼオール酸類がPDE阻害剤として天然より見いだされ、その薬理作用が注目されている.本研究では,より簡便に,グリゼオール酸の糖部に対応するような解離基を持つ二環性糖部を持つアデニン,グアニン誘導体を合成しPDEとの相互作用の解析やPDE阻害剤を分子設計するための情報が得ることを目的とした.簡便に二環性糖部を持つヌクレオシドを合成するためにDiels-Alder反応を利用し,糖部にジエン構造を持つアデノシンとジエノフィルとの反応を行なった.目的とする立体化学を有する化合物はα-endo付加体であるが,本Diels-Alder反応では面選択性を示さなかった。しかし、糖部にジエンを持つ8,2′-S-cycloadenosine体とジエノフィルとの反応ではα-endo付加体が主生成物となった.さらに、超高圧下でのDiels-Alder反応を検討したところ収率よくα-endo付加体のみが得られた.エステル部分を加水分解しPDEの阻害活性を調べたが合成した化合物は活性を示さなかった.
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