1994 Fiscal Year Annual Research Report
釧路湿原における酸性霧および酸性融雪水の湿原生態系への影響の研究
Project/Area Number |
06453204
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
西尾 文彦 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (40044789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓助 東京都立大学, 理学部・地理学教室, 助手 (60145662)
東海林 明雄 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (00002692)
神田 房行 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (70091527)
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Keywords | 酸性霧 / 酸衝撃 / 酸性化 |
Research Abstract |
北海道東部地域の釧路市内や釧路湿原周辺において雨、霧、積雪の酸性度の測定においても全国平均、時には平均以上の高い酸性度が観測されている。特に、霧の酸性化は雨以上であることが明らかになっている。北海道各地の都市部のみならず、人間活動の影響の少ない山間部や北海道の自然環境においても酸性化する地域の影響を受けつつあると考えなければならない。さらに、冬期においては雪の酸性化が顕在化し、春期の融雪水が動植物に及ぼす影響が大きな問題となる。今後、中国、韓国などの東アジア諸国の工業化がさらに進むにつれ、大気汚染物質が日本のどこに、どのように影響を及ぼすのかが懸念される。このように地球規模環境を視点に捉えながら、釧路湿原および周辺地域における雪氷水文圏の地球科学的研究を行い、湿原の生態系への影響調査を始めた。中でも、冬期の積雪は積雪層内に大気汚染の化学物質などを滞留させる働きをし、3〜4月の融雪期に融雪水と共に短期間に流出するために、土壌、植生、動物に酸衝撃として大きな影響を及ぼすと考えられるので、湿原などの生態系への影響が顕在化する可能性がある。そのため積雪と融雪水の化学物質濃度の分析・解析を行い、同時に釧路湿原における生態系の可視的被害状況と酸性化の影響を調査し将来予測の研究を始めた。 釧路湿原や釧路市においては雨、霧、雪の酸性度の測定を継続して実施していくと同時に、研究期間の3年間はとくに釧路湿原における3〜4月の融雪期における融雪水の酸衝撃と土壌、植生、動物に与える影響を調査する。 以上の研究計画に沿って、平成6年度は、自動霧水捕集器を製作し、釧路市における観測体制を確立した。昨年末の設置であったために、本格的な霧の自動化には平成7年度の研究期間におこなう。自動観測の試験では現在のところ順調である。湿原内での積雪、融雪水に採集が継続して実施しており、現在分析を始めているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 西尾文彦: "酸性化する地球-グローバルチェンジへの視点" 「子どもと環境」東京書籍. 6-19 (1994)
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[Publications] 西尾文彦,松本拓樹: "釧路の霧とエルニーニョ現象との関連について" 日本雪氷学会誌. (投稿校閲中).
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[Publications] 西尾文彦・織田伸和: "北海道釧路地方の酸性降水の研究(I)" 釧路論集. 26号. 191-223 (1994)