1995 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質濃度の季節変動を利用した氷コアの高精度年代推定手法の確立
Project/Area Number |
06453206
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中尾 正義 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90142695)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 久美子 防災科学技術研究所, 長岡雪氷防災実験研究所, 主任研究官 (80202620)
瀬古 勝基 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (70196971)
吉田 尚弘 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (60174942)
太田 啓一 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (80022250)
上田 豊 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (80091164)
|
Keywords | 氷コア / 年代決定 / 化学物質 / 季節変動 / 雪の変態 |
Research Abstract |
2年度目に当たる本年度では、南極北極、アジア高山地域で採取された氷コアの分析を実施、化学物質濃度の時間変化を解析するとともに、化学物質濃度の季節濃度による年代の推定と他の主暖による年代の推定との比較を行った。その結果、 1、融解が全く生じない南極の試料の場合でも、化学物質によっては時間とともに変質が生じることが明らかとなった。最も特徴的なのは硝酸であり、氷床表面の積雪層内において光による変質を受けてしまう。しかし、物質を選べば(たとえば硫酸)、充分年代の推定を行うことが可能である。 2、北極の試料では、堆積量が少ない場合や風による吹き払い効果によって冬の層が欠落するような場合には、同位体を用いて年代推定することが困難である。しかし、その場合でも、イオン濃度には季節変動が残っており、そのことを用いて年層の決定が可能である。 3、融解現象が生じるアジア高山域の試料の場合には、要素によっては季節変動が明瞭でなくなる場合も生じるが、複数の要素を総合的に利用することによって年代を決定することが可能である。ただし、充分な分解能をもって各要素の深さ分布を復元することが肝要である。 ということが明らかとなった。
|