1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06453209
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 淳一 北海道大学, 薬学部, 教授 (90221241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁森 英幸 北海道大学, 薬学部, 助手 (70202108)
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Keywords | チロシンキナーゼ / チロシンキナーゼ阻害活性 / 海洋天然物 / 海綿 / セスキテルペン / ブロモチロシン / アルカロイド |
Research Abstract |
現在知られているがん遺伝子産物(タンパク)の多くはチロシンキナーゼ活性をもつため、チロシンキナーゼは増殖因子の情報伝達に関与すると考えられている。従って優れたチロシンキナーゼ阻害物質が発見されれば、新しいがん化学療法剤の開発につながることが期待される。本研究では、種々の海洋生物を材料にして、チロシンキナーゼ阻害作用をもつ天然物の探索を行った。以下に本年度の研究成果の概要を報告する。 沖縄本島・本部半島で採取したSpongiidae科の海綿より2種の新規セスキテルペンキノン(ナキジキノンAおよびB)を分離した。これらは、二環性セスキテルペンとアミノ酸(グリシンとL-バリン)が結合したキノンからなるユニークな化学構造をもつが、代表的な2種のチロシンキナーゼであるEGF Recept or kinaseとc-erbB-2kinaseに対する阻害活性を示し、とくにc-erbB-2kinaseに対する活性(IC_<50> 12〜42μg/mL)はより強力であった。一方、石垣島産の海綿Psammaplysilla pureaからは新規ブロモチロシン化合物9種(プレアリジンJ〜R)を分離した。このうち、スピロシクロヘキサジエニルオキサゾール環を含むプレアリジンJ、K、P、およびQは、EGF Recept or kinaseに対する阻害活性(IC_<50> 11〜23μg/mL)を示した。この他、当研究グループで以前単離した海綿動物由来のブロモピロール化合物や環状ペプチド、ホヤ由来のイミノキノン系アルカロイドなどがチロシンキナーゼ阻害活性を示すことを見い出した。以上の化合物の活性の強さはハービマイシン等の既知のチロシンキナーゼ阻害物質と比較すると幾分弱いが、選択性の向上を含めて、今後構造活性相関を検討することにより、優れたチロシンキナーゼ阻害物質を創製したいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Shigemori: "Nakijiquinones A and B,new antifungal sesquiterpenoid quinones with an amino acid residue from an Okinawan marine sponge" Tetrahedron. 50. 8347-8354 (1995)
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[Publications] J.Kobayashi: "Purealidins J〜R,new bromotyrosine alkaloids from the Okinawan marine sponge Psammaplysilla purea" Chem.Pharm.Bull.43(印刷中). (1995)