1996 Fiscal Year Annual Research Report
生体エネルギー・情報伝達機能のモデル化に関する研究
Project/Area Number |
06453214
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小夫家 芳明 静岡大学, 工学部, 教授 (80026195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康隆 静岡大学, 工学部, 助教授 (10240798)
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Keywords | 人工イオンチャネル / 超分子集合体 / イオン選択性 / オリゴエーテル / カリウムチャネル |
Research Abstract |
コール酸の3つの水酸基をメチルエーテル化し,αーシクロデキストリン(CD)の全ての一級水酸基側をアシル化した。これは疎水的な硬い構造のステロイド骨格の片側に3つの親水的なエーテル結合が集積し,両親媒性分子面を有するため,デキストリンに導入するとエーテル結合を内側に向けた親水性ポアが形成されると考えた。本化合物は約10pSと疎水性修飾CDに較べやや大きな一定の電導度と,低いカチオン/アニオン透過選択性比7を与え,設計通りエーテル鎖による親水的な内孔を有するチャネルが形成されたことを示した。 また大環状開口部を有するチャネルとして4,6及び8-カリックスアレーンを合成し,4,6体について長鎖アシル基を導入したところ,カリックス[6]アレーンはチャネル電流を観測できたが,十分に大きな開口部を提供できないカリックス[4]アレーンはチャネル電流を与えず,開口部特異性を明らかにした。更にメチル化コール酸から誘導したイオン対を使わない分子状構成体を用いて超分子イオンチャネルが形成できることを見いだし,イオンチャネル構成体の単純化を更に進展させる試みに成功した。 トランス-アゾ基を一部に有する疎水性アンモニウムとオリゴエーテルカルボキシラートアニオンとの両親媒性イオン対型超分子イオンチャネルについてイオン電流特性を詳細に検討した。電導度7-12pSの4種類のチャネルがいずれもほぼ同一の約3倍のK/Na選択性比を与え,明確なカリウム選択性を提供できることが示された。この値は最初の人工カリウムチャネルとして以前に報告した大環状レゾルシン4量体が提供するポアが与えたK/Na選択性比と同一で,芳香族パイ電子空間の寄与のないオリゴエーテル空間も同様な選択性を与え得ることが明らかとなり,イオン選択性フィルターの構造-機能相関を考える上で重要な基礎的知見が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小夫家 芳明: "人工膜輸送蛋白モデル" 日本臨床. 54(3). 161-167 (1996)
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[Publications] Y.Kobuke: "Towards Biophysics of Ion Channels,Progression Cell Research" Elsevier (印刷中), (1997)
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[Publications] Y.Kobuke: "Advances in Supramolecular Chemistrg,Vol.4" JAI Press (印刷中), (1997)