1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス減数分裂における相同染色体間組換え機構の研究
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06454006
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Research Institution | NATIONAL INSTITUTE OF GENETICS |
Principal Investigator |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 助教授 (90171058)
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Keywords | マウス / MHC / 組換え / ホットスポット / Pb遺伝子 / SSCP法 |
Research Abstract |
マウスMHC領域内にあるPb遺伝子近傍にある組換えのホットスポットは、4つのホットスポットの内で最もセントロメアに存在するがこれまで解析が遅れていた。全てのホットスポットの分子構造を明らかにして比較することで共通する分子モチーフを探し出すことを目的として、今年度は、Pb遺伝子近傍のホットスポットの解析を行った。これまで、全ての組換え切断点が15KbのDNA断片に含まれる事が分かっていた。まず、このDNA断片に関して制限酵素地図を詳細に作製した。CAS4とwm7ハプロタイプのヘテロ接合体から由来した組換え体6個体の組換え切断点の分子マッピングをSSCP法等を用いて行った。この結果、5個体の組換え体の組換え切断点が、2.4KbのDNA断片に含まれていることが分かった。その領域の全塩基配列を決定し、データベースから相同な他の塩基配列を検索したところ、ホットスポットのテロメア側の約400bpには、ラットPb相同遺伝子のトランスメンブレン・ドメインを含む塩基配列と高い相同性を示す領域が存在した。したがって、このホットスポット領域はPb遺伝子の内部に存在することが示唆された。また、CAS4をハプロタイプに持つマウスとwm7以外の他系統のヘテロ接合体から得た組換え体を解析した結果、組換え切断点は、比較的広い範囲に分布していることが分かった。以上の結果から、既に構造が解析されてきたLmp2,Eb,Ea各遺伝子の近傍にあるホットスポットの場合と総合して、MHCクラスII領域の4つのホットスポットは、いずれも遺伝子内部もしくは遺伝子の3′側に位置することが明らかとなった。この結果は、殆どのホットスポットが遺伝子の5′側のプロモーター部位に存在する酵母染色体と対照的である。この事実は、組換えの開始反応に両者で差異のあることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizuno,K.,et al: "Molecular analysis of a recombinational hotspot adjacent to Lmp2 gene in the mouse MHC : fine location and chromatin structure" Mamm.Genet.Vol.7. 490-496 (1996)
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[Publications] 城石俊彦・水野健一: "日本組織適合性学会誌" マウスMHC内に見出された組換えのホットスポット. 7-14 (1996)